単なる健康グッズの域をはるかに超えて、Huaweiは大真面目に医療分野に取り組んでいます。今はアメリカの貿易制裁と半導体供給難のダブルパンチでスマートフォンの商売がうまくいっていません。スマートウォッチで巻き返せるでしょうか。
Appleの後を追って本格的に医療分野に進出
Apple Watchの二番煎じという声はあるでしょうが、Huaweiも単なる健康グッズの域をはるかに超えて大真面目に医療分野に取り組んでいます。Huaweiの偉い方が世界経済フォーラムへの寄稿記事の中でこう述べています。
Over the past two and a half years, more than 10,000 people were screened for suspected atrial fibrillation (AF) – an abnormally fast heartbeat. More than 4,400 people were diagnosed with AF, with an accuracy of 94%.
World Economic Forum, “These smart technologies are transforming healthcare” Written by Ken Hu, Deputy Chairman, Huawei Technologies
Huaweiは2018年から中国国内で310万人の人たちに自社のスマートウォッチを身につけてもらって心臓に異常がないかを常時モニタして遠隔で診断する研究に取り組んできたそうです。その中の研究成果として、不整脈の一種の心房細動を発症した人を94%の精度で見つけ出したそうです。
今はアメリカの貿易制裁と半導体供給難で苦しいが…
新浪科技の報道では、今はアメリカの貿易制裁と半導体供給難のダブルパンチを受けてスマートフォンの商売がうまくいっていません。2021年第1四半期時点でHuaweiのスマートフォン世界シェアはたったの4%に落ち込んでいます。中国国内でもOPPOが首位に躍り出たそうです。まさに泣きっ面に蜂の状態にあるのが今のHuaweiです。
しかし単なる健康グッズやなんちゃって医療機器をはるかに超えて、国の監督機関に認められる医療機器ともなると、スマートデバイスを売っているそんじょそこらのメーカとは違う底力を感じてしまいます。この記事を読むと、スマートウォッチに分野を限れば、世界シェアは6.7%で4位、中国国内では22.3%の首位で結構強いことが分かります。
中国の医療機器市場は順調に右肩上がりが続いており、BATH(百度/Baidu、阿里巴巴/Alibaba、Tencent/腾讯、Huawei/华为)と呼ばれる巨大企業がこぞって参入してきていて、Huaweiと言えども国内で熾烈な競争にさらされていると思います。他の3社との違いはソフトウェアだけでなくハードウェアも持っていて、それをプラットフォームとして融合させていて、クラウド上でサービスを展開しているところだと思います。
単純にApple Watchの二番煎じと思うなかれ
世界に目を転じてみても、Apple WatchがPPG(Photopleth-ysmography:光電式容積脈波記録法)と呼ばれる血液に溶け込んでいる酸素の量を測る機能やECG(Electrocardiogram:心電図)を持っています。ここまではHuaweiのスマートウォッチも同じです。
しかし、ここにきてHuaweiはApple Watchの先を行く血圧計を搭載してきました。まだ医療機器として当局で認証中のようですが、2021年末には発売できる見通しを持っているようです。
将时间线拉回今年五月,华为终端手机产品线总裁何刚就在网上发文透露,“华为在腕上穿戴式血压测量技术领域取得了突破性进展,首款可以测量血压的华为智能手表已通过医疗器械注册检验,下一步将联合专业医疗机构开启注册临床试验,预计在下半年将正式上市”。
新浪科技《华为入局医疗器械领域,除了服务智能穿戴还有这些野心》
最近はAbbott社の「FreeStyleリブレ」という製品が出てきて、血糖値を常時モニタできるようになりました。センサを肌に貼っていれば、刺さっても痛みを全く感じないごくごく小さな針が肌にちょこっと刺さって肌に含まれる水分から血糖値を測定し記録してくれるものです。以前は指先にチクっと針を刺して血を取って試験紙で血糖値を測るしかありませんでしたから、糖尿病の患者さんの負担は随分減ったのではないかと思います。
血圧も事情は同じでこれまでは常時モニタできませんでしたよね。それが、Huaweiのスマートウォッチを腕に巻くだけで血圧がリアルタイムで測れるわけですから、隠れ高血圧あるいは低血圧の人を見つけやすくなると思います。
スマートウォッチは治療機器にまで化けるか
今のところスマートウォッチは医療機器と言っても体の調子を測定するものに過ぎません。この先治療までできるようになるのでしょうか?治療とまでいかなくても、健康グッズ的に体の調子を整えてくれるような何か働きかけをヒトにするようになるのでしょうか?
単なる想像でしかありませんが、例えば、手首に巻いているわけですから、手首の温度が測れると思います。冷たくなっていると緊張しているのだなとスマートウォッチが考えて、温めてくれて緊張をほぐしてくれるなどという機能はどうでしょうか。
『ジェスチャーを交えて単語を覚えると定着がよい…かもしれません』の回で紹介した『データの見えざる手 ウエラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』という書籍の中では、活発に動いていると幸せだし、幸せだと体がよく動くという話を紹介しました。
体調がおかしくなったことを知らせてくれるだけでなく、体調を崩しかけたら、「もっと歩こうよ」とか「最近どう?」などと話しかけて会話の相手になってくれるなどの機能があると、使えば使うほどよい習慣が身に着いて幸せにしてくれるスマートな奴になってくれるでしょう。既に同じようなもので日本のCureApp社が医師が処方する 禁煙治療用アプリを売り出しています。次はこの方向でしょうね。
コメント