今まで出会った中で一番まともな機械翻訳はDeepL翻訳でしょう。Google翻訳はPC版とスマホアプリ版どちらも音声入力に対応していて、スマホアプリ版では画像入力にも対応していて便利なのですが、如何せん肝心な翻訳がぎこちないことがよくあります。特に比喩表現の単語は弱いです。
かなりこなれた翻訳をしてくれる
Google翻訳の弱点は特に中国語の4文字熟語です。例えば、最近教わった「鸡同鸭讲」は字面通りに直訳すると、ニワトリとカモがしゃべるということになりますが、要はお互いに何か話しているけれども、どちらも何を言っているのか分かっていない状態のことを指す表現だそうです。
Google翻訳は米国で作っているからということもあり、最も得意とするのは英語と他の言語の間の翻訳です。 「鸡同鸭讲」 を英訳させると、”Chicken and Duck Talk” となります。一方DeepL翻訳の方は “lit. chicken speaking with duck” と逐語訳が第1候補で上がってきますが、その他に “people not understanding each other” という比喩であることが分かる表現も併記してくれます。
他にも兵法三十六計に出てくる「调虎离山(調虎離山)」は、Google翻訳は全く意味が分からないのかピンインの読みそのままに「Tiaohulishan」となるのに対して、DeepL翻訳の方は “move the tiger from the mountain (idiom); to lure an opponent out by a stratagem” と訳します。一計を案じて敵を誘い出すという意味合いをちゃんと訳してくれます(2021年12月4日時点)。
文脈を捉えるのも、今一つです。例えば、“ “虽然” 是口语,而 “尽管” 是书面语。” をGoogle翻訳にかけて英訳させると、” “Although” is spoken, while “although” is written.” となってしまいます。つまり、“虽然” は口語で、一方で “尽管” は文語という文脈を捉えて的確な訳ができないところがあります。これがDeepLですと、” “Although” is a spoken word, while “notwithstanding” is a written word.” と言わんとしているところをしっかり汲み取って英訳できます。
PC版アプリのよいところ
その他PC版アプリのよいところは、ネイティブスピーカーが自然に読み上げているようなスピードで音声再生してくれるところです。そういうこともあり、先生がいない場合の作文練習の添削のために、自分で作文をした外国語の文章を日本語(和訳もなかなかです)なり英語なりに訳して、意味が通るかを確認するのに使っています。
また、ショートカットキーも優れもので、単語や文をカーソルで反転表示させておいてCtrl+C+Cと打ち込むと、どんなアプリ上の言葉もDeepL翻訳が起動して立ちどころにその言語を自動検出して訳してくれます。この辺のすぐに使用されている言語を自動検出して翻訳してくれる機能は、Chromeの拡張機能としてのGoogle翻訳にもありますが、Amazon Kindle PC版上からでもできますし、その他アプリ上からでもできるところ非常に便利です。使ったことはありませんが、Microsoft Word(.docx)、Microsoft PowerPoint(.pptx)、PDF(.pdf)のそれぞれのファイルを丸ごと翻訳させることもできるようです。
そして、他の言語に訳した文は「…に訳文を挿入」という機能を使って、「いろいろ悩んだ末の私の単語帳」の回で紹介した自分の単語帳の例文欄にコピーしています。自然な訳なので、後々自分のアウトプットの練習の際に表現を使えると思うからです。
なお、私はAndroidスマホユーザなので、iPhone版アプリについては分かりません。iPhoneをお使いの方は別の方の意見を参考にしてください。Android版アプリを心待ちにしていたところ、とうとう2022年2月に登場しました。今ではスマホ環境でも快適に使えています。
DeepL翻訳で改善してほしいところ
DeepL翻訳で改善してほしいところは、Google翻訳にはあってDeepL翻訳にはない中国語のピンイン表示です。やはり中国語は発音と声調がカギですので、そのためにも外国語として中国語を学ぶ身にしてみれば、ピンインがないと学習効率が下がってしまいます。ですので今は仕方なく、中国語の単語や文をカーソルで反転表示させておいてCtrl+C+CでDeepL翻訳を起動、そして英訳、和訳、ポルトガル語訳、スペイン語訳をチェックして、必要があれば単語帳にコピー。そのあと、元の中国語の単語をGoogle翻訳に持っていて、ピンインを確認して、それも単語帳にコピーするといった具合にして使っています。ピンイン表示ができれば、最後の手間は省けます。
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