中国はmRNA技術で江戸の敵を長崎で討てるか

注射 科学技術

コロナワクチンの開発ではアメリカやドイツの製薬会社に後塵を拝しましたが、中国の製薬会社がmRNA型ガン治療薬で江戸の敵を長崎で討つことができるでしょうか。

中国もコロナ前からmRNA技術に取り組んでいた

中国内製のmRNA技術に関する記事で初めて知りました。中国でもmRNA技術で数多く起業されています。中でも2019年創業の艾博生物という企業がいち早くコロナワクチンの臨床試験に漕ぎつけています。その他の企業は臨床試験までにはまだ至っていませんが、 艾博生物 よりも3年早い2016年に創業した斯微生物は9つも臨床試験前の薬剤を持っていて投資資金を集めています。

記事の中にある表に挙げられた企業が世界のmRNA技術を持つ企業の全てだとすれば、その他にも6社あるので計8社の mRNA技術 を持つ製薬会社が中国にはあります。

mRNA技術というと、コロナワクチンでお世話になったModerna社(米)とBioNtech社(独)が有名ですね。両社はそれぞれ14種類と12種類の薬剤を臨床試験中で他を圧倒しています。特にModerna社は自社でmRNA薬剤の研究から製造まで一貫してできる特許と能力を持っていてこの世界の巨人であることがよく分かります。

そもそもmRNAとは何者?

mRNAはDNAに書かれた生物の設計図を部分的に写し取ったもので、タンパク質を合成するために使われます。アミノ酸がはまる型が数珠つなぎになっていて、並べたアミノ酸をくっつけるとタンパク質になるという寸法です。

ですので、DNAに書かれた設計図を写し取らずに、外から別の mRNA を持ち込んできてタンパク質を作ることもできるわけです。ウイルス本体の一部を作っているタンパク質を作れる mRNA を持ち込めば、そのタンパク質がたくさんできます。それを異物として自己免疫反応が起きて抗体ができる仕組みが mRNA 型ワクチンのやっていることです。

特許保有は米国が断トツの一位

記事の中でmRNAの片方の端を作る技術を例にして、円グラフで各国の特許数が示してあります。これを見ると、アメリカが断トツの一位で全体の74.9%を占めています。以下大分差があって2位がドイツの16.4%、3位が中国の5.1%です。日本はというと、4位に食い込んでいますが、パイが細すぎて数字が書かれていません。おそらく1%未満です。

圧倒的にアメリカに基本特許を押さえられていることが分かります。この特許をかいくぐって独自の技術を生み出すのは容易なことではないでしょう。ただし、中国は勇ましく立ち向かう企業数が多く、しかも人口が多いので臨床試験もやりやすいと思うので、その点日本よりは先行するアメリカやドイツに対して勝ち目がありそうです。

mRNAのカプセル技術はModerna社一強

報道でもコロナワクチンをマイナス何十度で保存しなければならないので、普通の冷蔵庫ではダメという話がありました。mRNAは分解しやすいようで、それを保護する技術が必要です。幾つかある中で一番筋がいいのが脂質の一種を使ったカプセル技術です。この技術特許をModerna社は自社で持っています。ここがModerna社の最大の強みでしょう。

ライバル製薬会社はみんな他社からライセンスしているそうです。そのためModerna社の企業価値は最大のライバル企業であるBioNtech社に対して2倍以上の差をつけています。

この技術障壁も中国企業にとっては乗り越えがたい高い壁になっているようです。実は中国企業のトップランナー艾博生物の創始者はModerna社の出身だということが記事には書かれています。そうでもなければ、いち早く臨床試験に持ち込める技術確立はやはり難しいのでしょう。

江戸の敵を長崎で討てるか

コロナワクチンで脚光を浴びたmRNA技術は、その人のDNAに書かれた設計図とは別のタンパク質が作れるということで、遺伝子由来の病気の治療に使えます。有望な市場として、ガン治療薬の創薬があるそうです。中国も生活習慣の欧米化に伴いガン発症数が増えていて、製薬会社としてはそこで勝ち残れば大きな内需を手にできます。

コロナワクチンの開発ではアメリカやドイツの製薬会社に後塵を拝しましたが、中国の製薬会社がmRNA型ガン治療薬で江戸の敵を長崎で討つことができるか、これからも注目していきたいと思います。

個人的にはそのような薬のお世話に極力ならないように、糖質制限16時間断食立ち仕事の3つの習慣をこれからも続けていきます。

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