グルテンフリー+糖質制限+16時間断食+腸活+MCTオイルで加齢臭がなくなったので、いよいよ脱石鹸に取り組み始めました。腸内に善玉菌を増やした後は、肌にも善玉菌が定着しやすくなったと考え、石鹸を使わなくても大丈夫と見ました。
現代の生活様式を一旦()に入れて実験してみる
振り返ってみると、グルテンフリー、糖質制限、16時間断食、腸活…これらはすべて、私たちが現在営んでいる生活様式を一旦括弧()に入れて考えるということだと思いました。
グルテンフリーは、日本人にとっては、パンやラーメンなどの小麦食品を食べなかった時代へのタイムトラベルです。そもそも日本はコメ文化圏に位置しますので、日本人の体質に合ってくるには、何世代にも渡るかなり長い年月がかかる事だろうと思います1。
糖質制限も精製された砂糖や白米がない時代に戻ることに等しいです。今までは腸内細菌の助けも借りながら、精製されていない雑穀から糖質を苦労して拾い集めてきたのが、ごく最近になって濃縮して一気に摂取できるようになったわけです。体の処理能力が追いつかなくなるのも当然です。
16時間断食は一日三食が定着する江戸時代より前に戻るようなものです。伝統的和食に近づけるため、野菜や海藻をたくさん摂ったり、納豆などの発酵食品をよく摂るようにして、腸活に心がけるようになりました。
若い頃は、パンにマーガリンをたくさん塗って食べて、砂糖を入れたコーヒーを飲んでいましたし、ポテトチップスや清涼飲料水も大好きでした。あまり胃腸や肌が強い方ではなかったので、よく下痢をしたり、肌に湿疹やできものがよくできていました。
何とか体調改善したいと思い、これらの悪習慣を一つずつ()に入れて、これを止めたら、体調にどう現れるか実験してきたわけです。その結果、今では血圧や血糖値は正常値に戻りましたし、中性脂肪はほぼゼロです。年々、LDLは下がり続けていますし、HDLは上がり続けています。コントロールし過ぎてLDLが下限値に近くなり、HDLが上限値に近くなったので、少し肉食を増やして是正しました(図1、図2)。お腹の調子もすこぶる快調です。ここ最近、下痢や便秘になったことがありません。
巷に言われていることや科学論文の研究成果は本当だったんだな、とつくづく思う今日この頃です。
とは言え、抵抗感があるものがあった…それが脱石鹸
とは言っても、自分がやるだけで人様に体臭で迷惑になることをやるのはどうかという抵抗感があるものもあります。それが脱石鹸です。
このブログで何度か登場している『10% Human / あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』(Alanna Collen 著)の中で、世界各地の先住民族の村落に訪れるが、嫌な体臭を放つ人はいないと述べています。
Despite washing infrequently, and never using deodorants or cleansers, tribal people living in the most basic of places don’t suffer from bad body odour.
Collen, Alanna. 10% Human: How Your Body’s Microbes Hold the Key to Health and Happiness (p.167). HarperCollins Publishers. Kindle 版.
なぜならば、彼らの肌には善玉の常在菌がいて、汗に含まれるアンモニアを無臭の酸化窒素に変えてくれるからだそうです。酸化窒素を肌の善玉常在菌ごと石鹼で洗い流してしまうと、アンモニアから体臭の素になる物質を作る悪玉定在菌が優位になってしまうのです(1)。
Without nitric oxide, the corynebacteria and staphylococci that feed on our sweat can run wild.
Collen, Alanna. 10% Human: How Your Body’s Microbes Hold the Key to Health and Happiness (p.168). HarperCollins Publishers. Kindle 版.
本来、石鹸は無用の長物なのです。しかし頭では納得しても、「本当だろうか、加齢臭もしているし、石鹸で洗わないでいると、体臭で他人に迷惑がかからないのだろうか」と考えるわけです。
エネルギー源をMCTオイルに変えて加齢臭が減った
ところが、ここに強い味方が登場しました。「ボケ防止で始めたMCTオイルに意外な効果が?」の回で紹介したMCTオイルです。MCTオイルを摂り始めて、夏場でも加齢臭が気にならなくなったのです。ちょっと不思議な気がします。
しかしそれもそのはず、MCTオイルはバーベキューで炭火を起こす時に使う点火剤のように、体内の脂質をエネルギー源として燃やす起爆剤としての効果もあるのです。ここからは私の仮説ですが、加齢臭の原因の1つは皮脂に含まれる過酸化された脂質の臭いです。なので、友連れすることによって、脂(MCTオイル)が脂(皮脂)を制するのかもしれません。
加齢臭が減った理由の考察はさておき、ここが試し時とみて、脱石鹸に取り組み始めたのです。
石鹸なくても問題なしと心底実感
無石鹸生活を始めて2年が経ちました。結果、日本の蒸し暑い夏で大汗をかこうが、石鹸がなくて問題なしというのが実感です。手洗いだけには少量石鹸を使っていますが、洗髪含めて体を洗うのに、石鹸、シャンプー、ボディーシャンプーの類は一切使わなくなりました。もちろん、脂成分を落とした後に、わざわざ脂成分を戻すようなリンスやコンディショナーも使いません(これは以前からですが)。
起床後に顔を洗うのも止めました。寝起きで顔がべとつくということがなくなったからです。石鹸などの洗剤で皮脂を無理やり取り除くので、それを元に戻そうとして、体は皮脂腺を増強して大量に皮脂を作り出すのです。そのため、頻繁に洗わないと皮脂でべとつくのです。頻繁に洗剤で皮脂を洗い流すことがなければ、体は自然と皮脂腺を元のサイズに戻すのです。これはやってみないと実感できないことだと思います。まさにコペルニクス的転回でした。
普通に電車に乗って隣に人が座っても、そのまま居続けていらっしゃいます。席を替えるため席を立つような人にもはお目にかかったことがありません。自分の体臭は自分には分からないとよく言いますが、他人もきにしないところを見ると、これは正真正銘の本物でしょう。石鹸はおろか、「洗う」ための何かを全く使わなくても、人様が気になる体臭は放たないわけです。
肌の滑りをよくするために、以前は髭を剃るのに少量の石鹸を使っていました。しかし、それも止めました。そんなことをしなくても、カミソリ負けしない強い肌になったからです。適度に分泌される皮脂で十分カミソリの刃が肌の上を引っかかることなく滑ります。そして、カミソリ負けして肌が赤くなることもありません。これも驚きでした。
脱石鹸は、香水をつけたい方や整髪料をご使用の方、それからお化粧をなさる女性の方は無理でしょう。しかし、それ以外の多くの方には断然お勧めです。
『皮膚は考える』(傳田光洋 著)にも、皮膚の表面は乳酸菌などの常在菌の代謝物である乳酸などで弱酸性に保たれていて、アルカリ性に保たれている体液との間で電池構造を作っていることが書かれています。アルカリ性の石鹸を使うと、この構造が崩れてしまいます(2)。
以前弱酸性を謳い文句にしたボディーシャンプーを使っていました。ですが、これらの界面活性剤は洗浄力が強すぎて、私の肌には合いませんでした。それもあって、これまでやむなく石鹸を使ってきました。その石鹸とも別れをいよいよ告げたわけです。
お金と時間の節約にもなった
整髪料、シャンプー、リンス、シェービングクリーム、そしてとうとう石鹸を使わなくなったので、大した金額ではありませんが、日常的にかかる消耗品にお金がかからなくなりました。その分をしっかりと最近流行の全世界インデックスファンドに投資すれば、老後の生活も幾分楽になるでしょう。
それにも増して、これら化粧品や洗剤をスーパーやネットショッピングサイトに行って探す時間やそれらを洗い流す手間も必要なくなり、時間の節約になりました。その分、ゆっくり湯船に浸かれる時間が増えました。プチミニマリストとしても大満足です。少しずつですが生活も気持ちも豊かになっていっているのを実感する今日この頃です。
[参考文献]
- Collen, Alanna. 10% Human: How Your Body’s Microbes Hold the Key to Health and Happiness. HarperCollins Publishers. 2015
- 傳田光洋. 『皮膚は考える』. 岩波書店. 2005年
脚注
- 余談ですが、稲作文化圏が ”Valeriepieris circle” と呼ばれる、地球上のわずか半径3,000kmの地域で世界人口の半分を育んでいます。 ↩︎
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