量子技術×人工知能で自動翻訳が普通になるか

人工知能搭載ロボット 科学技術

特許の世界で中国は既に出願数では他を圧倒しています。アメリカや日本も頑張っていますが、出願数では中国が急速に数字を伸ばしていて、2020年現在世界の出願数の半分を占めています。そんな中国が特に注力しているが量子技術と人工知能です。

量子技術と人工知能に力を入れる中国

特許の世界で中国は既に出願数では他を圧倒しています。アメリカや日本も頑張っていますが、出願数では中国が急速に数字を伸ばしていて、2020年現在世界の出願数の半分を占めています。日中韓の東アジア3国が揃って科学技術に並々ならぬ思い入れがあるのは、そういう性質を共通して持って生まれてきているのではないかと感じずにはいられません。何年かおきに行われる国別の知能指数調査やOECDが実施している学習到達度調査(PISA)も東アジアの国・地域は揃って上位を占めています。そんな中国が特に注力しているが量子技術と人工知能です。自分たちヒトを超える存在を作ろうとまい進しています。

量子技術の世界では、改ざんできない究極の暗号通信と言われている量子通信を墨子号という人工衛星と地上の間の長距離でやって見せたり、祖冲之号は世界最先端を走る量子コンピュータの1つになっています。

人工知能はまだアメリカの後ろを走っている感じがありますが、街頭に並べたカメラで認知症のため徘徊して迷子になったお年寄りを見つけ出したりしているし、まだ使ったことはありませんが、中国企業製のお掃除ロボットは家の間取りをマップにしてどこを掃除して回れば効率的か学習すると聞きますので、うちのルンバより賢いです。ドンドン実用面で人工知能の利用が進んでいる印象です。

量子技術と人工知能それぞれの代表企業が提携

そんな中、新浪科技の記事で量子技術と人工知能それぞれの代表企業が提携する報道がありました。記事によると、国盾量子という名前の通り量子技術をやっている企業と科大讯飞という人工知能をやっている企業が手を組んだそうです。ともに中国科学技术大学からスピンアウトした企業で、 国盾量子は量子暗号が得意で、 科大讯飞の方は自然言語解析が得意だそうです。現在 “量子加密智能办公本”(量子暗号でセキュリティばっちりの業務用ノートブック)を試験運用しているそうです。

詳細は分かりませんが、おそらく 科大讯飞が自然言語を得意とするということなので、ノートブックを持ち歩いていつでもどこでも盗聴される心配がなく電話会議ができるようなことを実現しようとしているのだと思います。

量子技術で自然言語処理が瞬時にできるようになるか

その先には人工知能の学習・推論を量子コンピュータの力を借りてあっと言う間にやるというのが考えられます。例えばヒトが会話する時に、どう表現すればよいか迷って言葉を選ぶようなことがあると思います。このような場面では、頭の中で幾つかの候補となる言葉が浮かんで、その中でどれがその時の状況で一番適切か判断していると思います。特に母国語でない外国語の場合は輪をかけてその時の言い回しとして適切な表現はどれだろうと考えたりすることが多いでしょう。量子コンピュータはそのような無数の組み合わせが考えられるときに最適解を見つけるのが一番得意なのです。

と考えているとありました、そういうことを解決しようとしている企業が。Cambridge Quantum社というイギリスの企業です。同社が量子コンピュータで自然言語の音声⇔文字変換や自動翻訳を開発するためにツールをリリースしたそうです。lambeqという名前のプログラミング言語のPythonで書かれたツールです。こういうツールを使って、そのうちドラえもんの「翻訳こんにゃく」が生み出される日が近いのかもしれません。

それでも語学は不滅

それでも語学はスポーツや音楽のように生き残ると思います。ヒトは食料を求めてわざわざ狩りや果物を探し求めて歩き回る代わりにスーパーマーケットに行って買い物をするようになりました。でも、みんな今も形を変えていろいろなスポーツ種目という形で残っています。音楽もそうです。ビアノの自動演奏があるのに、わざわざピアノ教室に通ってピアノを演奏できるようになるよう学んでいます。

ですので、たとえ「翻訳こんにゃく」ができたとしても、自分でしゃべれるようになることに喜びを見出して語学を勉強し続けるだろうと思います。外国人に道を尋ねられて、教えてあげられたときはちょっとした快感を覚えるはずです。他人の力やモノの力を借りてできるよりも自分で受け答えできたときは何倍も達成感を感じるはずです。趣味というのは共通してこの「自分でできた」という喜びのためのものです。

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