集中して取り組んでいるつもりでも、食べ物が目に入るところに置いてあると、語学の妨げになりかねないようです。生きる上で食べ物は重要ですので、無意識に訴えかける力も強いようです。
食べ物は無意識を支配する
大阪公立大学の研究チームが明らかにしたところによると、サブリミナル的に目に入った食べ物の写真でも、脳の無意識系が活発になるそうです(論文)。個人差がありますが、33.4ミリ秒の間パッと写真が画面に映った後にまるで関係がない映像が続くと、直前に目に入ったはずの写真のことは覚えていないのです。しかし、脳の無意識系は活発に動くのです。いわゆるサブリミナル効果です。
何でもいいわけではなく、食べ物はてきめんに反応して、単なる物の写真だとあまり反応しません。当然と言えば当然です。人間に限らず生きとし生けるものはみな食べるものがないと生きていけないわけですから、体をオートクルーズ・モードで動かしている脳の無意識系に訴える効果は抜群なわけです。
知らず知らずによだれが出てくるでしょうし、無意識は食べ物のことを処理することだけで手一杯になることでしょう。
語学をマスターするということは無意識化
語学、特に会話をマスターするということは、無意識に聴いて即座に答えられるように脳を訓練するということです。いちいち意識にお伺いを立てていては、処理に時間がかかりすぎてどうしようもありません。
パーキンソン病に罹り歩けなくなった方が、再び「意識」を使って歩けるようになるまでの過程を収めた動画が “Training Conscious Walking – John Pepper” という題名で Youtube に上がっています。無意識に歩けることのありがたさが身にしみます。
流暢さが足りないというのは、この意識を使って、随意筋を使って歩いている状態ということです。John Pepper さんも意識を使って歩く時は、歩くために随意筋を使うことで頭が一杯になっていて、他のことなど考える余裕がありません。不随意運動にまで持っていくということが流暢になるということです。
語学中にそばに食べ物は禁物
ということは、無意識化の練習をしている最中にそばに食べ物があると、無意識は食べ物を見てよだれをだしたり、臭いを嗅ぎ始めたりと忙しく働く方に手一杯になってしまい、語学の習得の方に手が回るはずもないでしょう。
先に紹介した研究では普通のそこらにある物に対しては、無意識はそれほど反応しませんでした。それならば、語学をマスターしたいという意欲が脳の報酬系に訴えかける方が強いでしょう。しかし、その意欲も食べ物の前では歯が立たないことが容易に想像できます。ですので、視界から一切の食べ物自体や絵や写真を取り除く必要がありそうです。
「心理的安全」の確保も大事
食物連鎖の下から上まで食うか食われるかの関係の中でヒトも長く生きてきました。ですので他の動物と同じで、「脅威」に対しても同じ無意識系が最優先で発動されます。襲われたら、コンマ数秒の迷いがあっても致命的ですから、意識に上る前に隠れるか逃げるか、さもなければ窮鼠猫を噛むかの何れかのを無意識が瞬時に選択して行動に移すようにできています。
ですので、生理的に苦手なものや怖いと思っているものもよくありません。最近よく言われる「心理的安全」を確保することもとても大切です。勉強スペースからストレスになるモノを極力取り除くようにしましょう。
エッ?そんなことを言っている私がストレッサーですって?失礼しました。部屋の隅っこで語学しています。
コメント