英語口語の粋『AFN最強の生英語リスニング―スポット・アナウンスメント』

Language Learning 習慣
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語学は楽しいと取り組みやすいですよね。しかも隙間時間にこなせる分量だと、時間が有効活用できてお得感があります。しかも、日常会話で使える表現なら、実用的でなお良しです。そのような教材がこの書籍です。この手の教材が他の言語でもあると嬉しいのですが。

AFN スポット・アナウンスメントとは

本書の端書に説明がありますが、「海外に駐在する米軍事とその家族」向けラジオ放送 American Forces Network をエアチェックしたものです。歴としたネイティブ向けコンテンツを題材にしているので、容赦のない日常会話です。

しかも「スポット・アナウンスメント」は、日本でいうとちょうどACジャパンの CM のようなものです。ACジャパンの CM 同様、内容もかなり凝っていて、短い時間枠の中にメッセージを込めています。

異国に駐在している軍人向けですので、自国とは一味違う風習や文化の違いや身辺安全、健康維持の秘訣、子育てや退役後の身の振り方指南など、自分とは違う他者の立場に立った、アメリカ人の自画像的な造りになっていることも、「これがアメリカだ」というごく普通の英語教材とは趣を異にしています。必見の価値がある教材です。

こなれた日常会話表現の粋

中身はというと、まさにこなれた日常会話表現の粋です。あまり外国人の我々が好き好んで使う必要はありません。仕事でネイティブと話す時にも、先方は相手が外国人だと分かっているので、お互い使うこともあまりないかもしれません。

ですが、ネイティブはこのような表現を多用するということをよく覚えておくと、少なくとも海外旅行の機内で映画を見る時に役立ったりします。ネイティブ同士の会話を脇で耳をそばだてて聞いたり、SNSの会話からいろいろ情報を得るのにも役立つかもしれません。

音声は1つのスキットが大体 30 秒もしくは 1 分でできています。書籍は1つのスキットごとに見開きで左ページがトランスクリプト、右ページがその和文対訳という構成になっています。そのそれぞれにこれだけは覚えて欲しいと著者が意図した表現が、右のページの冒頭に乗っています。

この分量なら、隙間時間にこなせる分量だと、時間が有効活用できてお得感があります。何より、AC ジャパンの「寛容ラップ」並みにイケているスキットばかりですので飽きません。

実際の表現例

例えば、運転中に電話している光景で何やら音が近づいてきます。そこでアナウンスが入ります: “Get a clue! / 鈍いなぁ!” という表現です。これなどは “Guess what?” と組み合わせて使うと、それだけでネイティブ同士の短くて小気味のよい会話らしいです。

“There’s more to it. / それだけじゃないんです” もネイティブが口癖のように使いそうな表現です。これは体重管理を題材にしたスキットに出てきます。ボーリングをしている音がした後、ゲームを楽しんでいるだけでなく、運動は健康にもいいんです、という意味合いで使われています。

他にも “Go figure! / 信じられない!” という表現が出てきます。”go” と “figure” が組み合わさって、なぜ「信じられない」になるのか自体が信じれられないですが、日常会話でよく使われる表現の1つです。thefreedictionary.com によると、1920 年代から使われ始めた表現のようです。命令形なのだそうです。ですので、直訳すると「行って何だか見て来なさい!」という感じでしょうか。

最後にあまり会話で使うことはないかも知れませんが、そっくりさん親子を指す表現が4連発で出てくるスキットがあります。世代を超えて悪習が受け継がれてしまうことを表現するのに、”spitting image / 生き写し”、”The apple never falls far from the tree. / 蛙の子は蛙”、”chip off the old block / 金太郎飴のように瓜二つ”、そして最後に “Like father, like son. / この親にしてこの子あり”。このスキットに深く感じ入り、自分の行動規範に「良習は子に伝え、悪習は一代で絶て」という一文を追加しました。印象に残るスキットでした。

願わくば…

こんなに良いことずくめの書籍ですが、電子版がないのが残念です。それから、初版が 2007 年ですので、内容も古くなっているところがありますので、アップデートもしくは続編を出してもらえると嬉しい限りです。

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