習得する言語を深めるか、それとも増やすか

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習得する言語を増やすか、それとも深めるか悩んでいます。正直 、4 か国語で語学は手一杯なのですが、気になる国と言語があり、レバートリーに追加しようかどうしようか思案中です。その言語はインドネシア語です。

人生 100 年時代とは言え、時間は貴重

人生 100 年時代とは言え、時間は増えないので、大変貴重なものです。日本では少子高齢化社会が本格化して、健康寿命延伸が叫ばれていますし、欧米および日本でも、Lifespan が刊行された前後から、不老長寿に対する関心が集まっています。

だからと言って、現実問題として言語理解能力が言語操る上で重要な鍵を担うわけですが、 60 代を境に衰え始めるのも事実です(論文)。70 代、80 代とグライダーのように滑空しながら衰えていくのであれば、60代までの蓄積をどこまで高めておくかが物を言うというわけです。

言語を深めるー語彙を増やすという方向

マルチリンガルが新しい言語を学ぶ時、脳の視覚野も使う!?」の回で言語の種類を点になぞらえて、数を増やせば、言語間を結ぶ辺と対角線の数が幾何学的に増えるという話をしました。マルチリンガルが新しい言語を習得するのが速くなるのもうなずけます。

そうやって接続数を増しておけば、認知予備力(Cognitive reserve)が大きいということなので、70 代にさしかかり、認知機能が衰え始めても、貯金を少しずつ取り崩していく分には、認知症を発症する閾値を下回るまでの時間を長くすることができるわけです。

接続数を増やすには2つの戦略が考えられます。先ほど言語の種類を増やす方向について触れました。もう一つ方法があると思います。それが言語を深めるという方向です。つまり、語彙数を増やすわけです。

簡単な順列組み合わせの計算です。仮に 4 つの単語を覚えるのに、母語を 3 つで、第2外国語を 1 つにすれば、3 x 1 = 3 通りの組み合わせです。けれども、母語を 2 つで、第2外国語を 2 つにすれば、 2 x 2 = 4 通りの組み合わせができます。

例えば、日本語で「~なので」、「~だから」、「~というわけで」という3つの言葉とそれに相当する英語の “because” という1つの言葉を覚えたとしましょう。これらを結びつけると、3通りの組み合わせです。英語の “because” を3通りに英和/和英訳できる認知予備力があると言えるでしょう。

一方、日本語で「~なので」、「~だから」の2つの言葉を知っていて、英語ではそれらが “because” と “since” という2つの言葉に当たると覚えたとしましょう。そうすると、4通りに英和/和英訳できる認知予備力があるといえるでしょう。

ですので、1つの語彙を覚えるのに同じ時間がかかるとすると、各言語で語彙を大体同じ数に揃えるのが良いことが分かります。ですので、母語と同じ程度の語彙力を目指すという方向が考えられます。

学ぶ言語を増やすなら、インドネシア語か

学ぶ言語を増やす話の効果は既に「マルチリンガルが新しい言語を学ぶ時、脳の視覚野も使う!?」の回で触れました。ですので、今回は別の視点で、もしもう1つ学ぶ言語を増やすとすると、何を選ぶべきかという話をします。

先ず、下のグラフをご覧ください。これは現在の先進国の集まりである OECD(経済協力開発機構)の統計データベース “OECD.Stat” から拾ってきたデータを基にグラフ化したものです。

2050年GDPと2030年人口の国別順位 出所:OECD.Stat

OECD が 2050 年に世界の国別 GDP がどうなっているかを予測しています。残念ながら、人口の方は 2030 年までしかありませんでした。両者で 20 年も差があるとどうなのかという話はあります。それでも、概ね人口規模がその国の GDP にも反映されていることが見て取れると思います。

2050 年ともなると、1人当たり GDP が先進国、新興国、発展途上国で揃ってきています。世界全体の貧富の格差が縮小していくからだろうと思います。先進国は少子高齢化が進み経済成長率が鈍化、もしくは人口オーナスの影響で経済が縮小する一方、新興国や発展途上国は人口ボーナスの恩恵を受けて高い経済成長率が続くためでしょう。

例外は米国です。2050 年時点でも、突出して1人当たり GDP が高いことがよく分かります。これはアメリカン・ドリームを目指して世界の頭脳が流入し続けるからでしょう。

国別 GDP 順位で一つお気づきになる点があると思います。日本は 5 位に転落していて、その上の 4 位にインドネシアが来ています。少々乱暴ですが、政治経済や科学技術分野でその国を動かしている言語という観点で見ると、以下のランキングになります。

  • 1位 英語:インド、米国、ドイツを含むEU加盟国(EF 英語能力指数が高い)、トルコ?(EUへ加盟できたら)、その他英語圏
  • 2位 中国語:中国、香港、台湾
  • 3位 インドネシア語:インドネシア以外にも、マレーシア語も兄弟言語で、広義には「マレー語」を使用
  • 4位 日本語:日本のみ
  • 5位 ポルトガル語:ブラジル、ポルトガル、アンゴラなど一部アフリカなど
  • 6位 ロシア語:ロシア、CIS加盟諸国
  • 7位 スペイン語:メキシコなどブラジル以外の中南米のほとんど、スペイン

※ドイツを含むドイツ語圏は、EU加盟である関係からか、全般的に英語レベルが高い。

そうです。インドネシア語がもしかしたら、東南アジアのみならず、その周辺や同じタイムゾーンで共通語になっている可能性があります。

現に、インドネシア語はマレーシアで話されているマレーシア語と同じ起源を持つ言語なので、兄弟言語です。お互い意思疎通ができるそうです。そういう括りで言うと、マレー・インドネシア語圏はマレーシア、ブルネイ、果てはシンガポールまでに及びます。

マレーシアにて撮影

日本とインドネシアは同じタイムゾーン

私は現在、英語、中国語、ブラジル・ポルトガル語、スペイン語の 4 か国語を学んでいます。それらを選んだ理由は現在の人口&GDPカバー率の高さです。

それならば、将来を見据えて、もう1言語プラスするとすると、迷わずインドネシア語を選ぶでしょう。東京外語大学言語モジュールによれば、使う文字はアルファベットで読み方もローマ字読みに近く、英語と同じ S + V + O という語順、ヨーロッパ語のような人称に応じた動詞の語尾はなく、名詞の性別もないそうです。

ただし、違うところもあります。日本語、英語、中国語どれも名詞を修飾する所有格や指示代名詞は名詞の前に来ますが、インドネシア語では逆です。語順は、《名詞》-《一般的な修飾語》-《所有者》-《指示代名詞》だそうです。

しかも、日本とマレー・インドネシア語圏は経度的にほぼ同じタイムゾーンに位置します。インドネシア語を学んでおけば、インドネシア人のお客さんに日本から何かをサービスすることができるかもしれません。

現在のところ、勉強するための教材も教室もほとんどないので、せいぜい 東京外語大学言語モジュール以外では Duolingo 程度ですが、そのうち始めようかどうしようか思案中です。参考にしてください。

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