真っ二つに分かれる言語による小数表現

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私が知っている日本語、中国語、英語、スペイン語、ポルトガル語の間で、小数表現は真っ二つに分かれます。小数点をどう捉えるかでピリオド派とカンマ派に分かれるのです。そして面白いことに、ピリオド派は整数部分と小数点以下を別世界と捉えており、カンマ派は同じと捉えているようです。

各言語の小数表現まとめ

では早速、各言語の小数点表現をまとめた表をご覧ください。見事なまでに真っ二つに分かれています。日本語、中国語、英語は小数点ピリオド派です。一方、スペイン語とポルトガル語が小数点カンマ派です。

各言語の小数表現

左側通行 vs 右側通行と構図が似ている

日本で暮らしていて、学校で英語を学んだ後、仕事で中国出張してコンビニなどでモノを買って支払った後にレシートを見慣れていると、人類皆共通に小数点はピリオドを使うものだと勘違いします。

ところが、実は世界では国の数でいえば、道路の右側通行と同じぐらい圧倒的に小数点カンマ派なのです。フランスやドイツなども小数点カンマ派かつ右側通行です。ですので、英国を旧宗主国とするような国々ぐらいしか小数点ピリオドかつ左側通行を使わないのです。

ちなみに、米国は道路の方は英国と違い右側通行ですが、小数点については英国と同じくピリオド派です。おそらくこれは歴史的時代背景が関わっているものと思います。

小数点が初めて歴史に登場したのが17世紀で、スコットランドの数学者 John Napier が小数点としてピリオドを導入しました。ですので、英国はピリオド派です。北米大陸の植民地化も同じ頃に始まりました。ですので、最初から英語と同じぐらい文化として小数点=ピリオドという結びつきが新大陸に根付いたものと思います。

一方、道路が整備されるのは入植して随分後になってからでしょう。人馬の交通量が多くないうちは、左側通行や右側通行をあまり気にしなくても済みます。交通量が多くなって初めて、出合い頭の事故を防ぐために交通ルールが設けられたはずです。その頃には、独立の機運も高まっていたでしょうし、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという感情が煮えたぎっていたでしょう。新しいルールとして、英国と違ったルールを選んでも不思議ではありません。

ブラジル出張で初めて知った小数点の違い

英国の植民地だった香港以外の中国は右側通行派です。私が訪れたことがある国々は左側通行も右側通行も両方あるので、普通に十人十色でそういうものだという意識がありました。

しかし、何も知識がないままに初めてブラジル出張に行った時に、バス停のキオスクで携帯電話のSIMカードのチャージ料を支払ったレシートに3桁区切りでもないところにカンマを見つけて驚きました。

近くの気象台で年間の気圧変動データを取り寄せてほしいと依頼しました。Excelに並ぶ数字をブラジル人に見せられて、なるほど、慣れ親しんだ三桁区切りがピリオドで小数点がカンマなんだと納得したのを覚えています。

数学で使う記号が未だに世界で標準化できないのは、数量単位や通貨でも同じなので、この先の将来も仕方がないのでしょう。

小数点以下の読み方で世界観が分かる

小数点以下の読み方で世界観に違いがあることが分かります。

ピリオド派は小数点より左の整数部分の読み方と小数点以下で読み方が変わります。整数部分は日本語や中国語では万進法、英語では千進法で読みますが、小数点以下は数が並んでいる順に一文字ずつ読んでいきます(ただし、英語では小数点以下二桁の場合は整数と同じ読み方をする場合もあります)。まさに、整数部の終わりを意味するように、小数点としてピリオドを使うのです。

一方、カンマ派のスペイン語とポルトガル語は、整数部も小数点以下も読み方に変わりがありません。どちらも千進法で読みます。ですので、カンマを使うのかもしれません。同じラテン語系のフランス語とイタリア語も同じです。

ところが調べたところ、ドイツ語は日本語、中国語、英語と同じく小数点以下は数が並んでいる順に一文字ずつ読んでいきます。カンマ派にも分派があるということです。ドイツ語の句点・読点の考え方は英語など他のヨーロッパ語と同じですので、どういう背景があってそうなったのか興味をそそられるところです。

語学書でも英語以外では、数量表現を取り扱っている書物は少ないです。これは、長く大学の文学部が語学を担っていたからでしょう。しかし、STEM (Science, Technology, English, Mathmatics) と言われているぐらいですので、”E” が中国語の “C” 、スペイン語の “S” やポルトガル語の “P” に変わっても重要になってくると思います。そのような語学書が出てくることを心待ちにしています。

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