中国語が母国語でない人にとって声調ほど難しいものはないと思います。少し前に神戸南京町のとある中華料理店で「中国語の勉強始めました」という話をしたら、店員さんから真っ先に「声調が難しいので、つまづかないようにね」と教えられたのを今でも記憶しています。
声調だけで一冊の本
もう既に絶版になっていますが、NHKラジオのテキスト『レベルアップ 中国語 2020.1.6-3.27』が今回取り上げる中国語の難所、声調の練習本でした。日本人だけでなく中国語が母国語でない人にとっては、声調ほど難しいものはないと思います。少し前に神戸南京町のとある中華料理店で「中国語の勉強始めました」という話をしたら、店員さんから真っ先に「声調が難しいので、つまづかないようにね」と教えられたのを今でも記憶しています。まさに「習うより慣れよ」で体に染みつかせなければならない類の技です。私はまだまだだめですが、このテキストとスマホ用「NHKごがく」アプリの「声調確認くん」機能を併用して練習することでよくなってきていることを実感しました。
中国語の発音に関する書籍は他にも良いものがありますし、何だったらYoutubeにも数多くの無料コンテンツがありますので、それらを利用するのでもよいと思います。しかし、これらの書籍やコンテンツでは4つある声調を1つずつ解説して練習するものが大半です。文になったときに前後の声調が作用し合って調子が変化することについて説明しているものはあまりないのではないかと思います。第3声が連続すると、前の第3声が第2声に変化することはさすがに説明しますが、その他の微妙な調子の変化について説明しているものはないでしょう。
しかし『レベルアップ 中国語 2020.1.6-3.27』では、まず 4つの声調を1つずつ説明・練習した後で、第1声+第2声などの2つの声調の組み合わせ、第2声+第1声+第4声などの3つの声調の組み合わせで前後の声調の間で微妙に変化及ぼし合うことを詳細に説明してくれています。
例えば、第3声+第2声の場合は、通常中程度の音の高さから音を上げながら発音する第2声が、第3声の一番音の低いところから上までグッと上げるように発音します。第4声が上から下までストンと下げるように発音するのと好対照な感じです。 第4声+第2声の時の後ろの第2声も同じです。後の声調が軽声の場合は、前の声調次第で音の高さが変わります。例えば、前が第1声であれば低くなり、第3声であれば高くなります。
3つの声調の組み合わせの場合はどうでしょう。第3声が3連続する場合は、単音単語が3つつながる場合と2音の単語+単音単語の場合は、第2声+第2声+第3声になり、単音単語+2音の単語の場合は、 第3声+第2声+第3声になるそうです。 ややこしいですね。
その他にもたくさんの声調の組み合わせで起きる調子の変化について説明されています。特に日本人によくある間違えやすい声調の変化については非常に参考になります。第4声に引きずられて前後の声調の高低が変わってしまうパターンが多いようです。4つの声調の中で一番上の音程から一番下の音程までストンと落とすように発音する第4声が最も発音しやすいからでしょう。
冒頭で触れましたが、前年ながら『レベルアップ 中国語 2020.1.6-3.27』はもう手に入りません。しかし、同じ呉志剛先生の同じ趣旨の書籍は購入できますので、検討してみてはいかがでしょうか?画像リンクをつけておきます。
頭で分かってもまねできずーそんな時は「声調確認くん」
声調の組み合わせで調子が変わることを頭で理解しても、実際に練習して体得しないことにはすぐにまねができるようにはなりません。練習教材としてよいのが、 スマホ用「NHKごがく」アプリの「声調確認くん」です。NHKラジオの中国語講座の各回で取り上げるキーフレーズを自分で読んで録音して、お手本の声調と見比べることができます。そして、自分で読み上げた声調を修正してお手本に近い調子で再生してくれる「変換」という機能があります。使い方は以下のように簡単です。
- 「例文を選択」でキーフレーズを選ぶ
- 「お手本を再生」して正しい声調を聞いて覚える
- 「録音」を押して、自分で読み上げた音声を録音する
- 「再生」して自分の声調を確認する
- 画面にもお手本の声調が紫色の線で描かれていて、自分の声調が緑色の線で描かれる
- お手本の声調の紫色の線の上に緑色の線が重ね書きされるようになるまで繰り返し練習する
- 最後に「変換」を押して、お手本の声調に近くなるように修正された自分の声を確認する
自分の発音は頭の中のシミュレーション結果
自分の発音は、リスニングする場合に「聞こえてくる音」を頭の中でシミュレーションした結果なので、発音が上手だと聞き取りも上手になります。ですので、外国語学習方法の本で音読を進めるのはそのためです。しかしテキストだけでは本当にネイティブがどう発音しているのか分からないので、ネイティブの発音を聞きこむこともどうしても必要になります。聞いてまねする練習はリピートの他、一番負荷が高いものにシャドーイングがあります。リピートはネイティブがフレーズを話し終わるのを待って、その後で同じフレーズをまねて自分で話してみる方法です。一方、シャドーイングという方法はネイティブが 話すそばからその発音をまねて追いかけるので、この名前がついています。これも外国語学習方法の本でよく取り上げられる練習方法です。
今回ご紹介した「NHKごがく」アプリの「声調確認くん」に限らず、外国語学習用のツールが揃ってきているので、お好みのものを使用して音読・リピート・シャドーイング練習をコツコツやるのが外国語上達の王道でしょう。
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