生活習慣病予防≒認知症予防

メタボ 科学技術

「肥満だと認知症になりやすい」、「高血圧だと認知症になりやすい」、「カロリー制限食だと認知機能がよくなる」という研究論文が発表されました。改めて生活習慣病予防こそが認知症予防につながるのだということがよく分かりました。

肥満だと認知症になりやすい

BMI (Body Mass Index) が高いことは、今や目の敵になっています。南オーストラリア大学の研究チームが発表した論文1によると、UK Biobank からの 26,239 人のデータを使って AI 解析した結果、中性脂肪が多く肝機能の数値が悪い人の脳は普通の人に比べて萎縮していることが分かりました。

これだけなら世間一般に言われている普通のことで「それ見たことか」という感じですが、太っている人は、大脳基底核にある尾状核と呼ばれる部分に鉄分が沈着しているそうです。尾状核は学習と記憶や語学に必要な言葉の理解にも関わっている部分です。語学をやる上で大事なところに鉄分がこびりついているわけです。もちろん鉄分は人体にとって必要なものですが、こびりつくレベルになると、錆びやすい⇒酸化しやすい⇒相手を還元しやすいで、周囲と化学反応しやすいので、よくないわけです。ですので、脳内の鉄分が多いことは、認知症のバイオマーカーになっています。

それから、基礎代謝が高い人の尾状核も鉄分が沈着しやすいようです。太っていれば、自重がかかっているので、何もしなくてもウェイトトレーニングになって基礎代謝も高くなりがちでしょう。筋肉質な人も基礎代謝は高いので、体脂肪率で区別して、筋肉質な人はどうなのか明らかにしてほしいところです。

脳血管関門というものがあって、通常は脳に入って来てほしくないものは通さないようになっています。ということは、論文1は因果関係に触れていませんが、おそらく血管があまりよろしくない状態で穴ぼこが開いているために、そこをすり抜けて鉄分が脳に沈着しているのでしょう。

高血圧だと認知症になりやすい

他にも論文1には、血圧が高いと大脳白質に病変が多く見られるという結果が載っています。こちらも因果関係に関しては何も触れていませんが、血管に穴ぼこが開いていると、血圧を上げざるをえず、上げたら上げたで穴ぼこから脳に入ってはいけないものが入ってしまい、悪さをすると考えれば、辻褄が合います。

論文1の他にも、ミシガン大学の論文2も同様に血圧が高いと、認知症に罹りやすいという内容です。こちらの論文は、ヒスパニック系と非ヒスパニック系白人とで人種が違うと、血圧と認知症の関係も変わってくるかを調べたものですが、結論としては差がなかったそうです。非ヒスパニック系白人に比べてヒスパニック系の方が 50% も高い確率で認知症になる統計があるそうです。その原因として血圧が関係するか調べたところ、関係なかったということです。

カロリー制限食だと認知機能がよくなる

南カリフォルニア大学の論文3は、カロリー制限食と言っても、正確には糖質とタンパク質を控えて不飽和脂肪酸を多めに摂る食事をマウスとヒトに与えた実験です。健康のためには、タンパク質は十分摂った方がよいという説とこの論文3のように減らした方がよいという説の両方があり、どちらが良いのか未だ決着を見ないです。この論文の実験結果からは、タンパク質を減らすことで少なくとも認知機能は改善するようです。

断食すると、脳も含めて体全体の慢性炎症が落ち着いて、脳内のアミロイドβやタウタンパク質が減ることが知られています。この論文3でもマウスの実験で同じ結果を得ています。ヒトの認知症テストでもカロリー制限食の方が好成績でした。

断食の効果については、「16時間断食ダイエットで嫁のいびきが消えました」の回に少し書きましたので、お立ち寄りください。要は12時間を超えて断食すると、最近はやりのオートファジーが働いて、脳内のゴミをお掃除してくれるのです。外からタンパク質が来ないので、中のゴミと化したタンパク質を分解して再生利用するからです。

また断食は、認知機能をアップするだけでなく、健康寿命を延ばすことにも効果的です。「プチミニマリストで行こう!」の回で触れています。別のハエを使った論文でも同様に、目の健康が保たれる上に寿命が延びる結果でした。「腹八分目で目が健康になり、長寿になる」の回をご覧ください。

記事で書いたように、私も16時間断食を実践しています。具体的には夕食を抜いて16時間ものを口にしないようにしています。始めた時は確かにお腹が空いて気になりました。ですが、最近知恵がついて、食事の際にMCTオイル(中鎖脂肪酸)を加えるようにしたところ、腹持ちがよくなり気にならなくなりました。MCTオイル体験談は「ボケ防止で始めたMCTオイルに意外な効果が?!」の回をご覧ください。

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