グルテンフリーを徹底しようとすると、パンや麺類はご法度です。そばも十割そば以外はダメです。大阪に生まれ育った私にとって小麦粉でできたお好み焼きやたこ焼きは料理以上に文化でした。でも最近はいろいろグルテンフリー食品があるので試して体調不良から脱却しましょう。
腸活したければ、先ずグルテンフリー
先ず、腸活の草分け的な書籍を紹介します。『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』です。本書の中で、著者であり進化生物学者であるアランナ・コリンさんが熱帯雨林でダニに咬まれてことがきっかけで体調を崩し、抗生剤に助けられたこと、しかしその後今度は抗生剤が元で腸内フローラが乱れてしまい胃腸がすぐれず、皮膚病に悩まされたことを語っています。
読むといかに腸内フローラが大事なことがよく分かります。アメリカで州ごとに抗生剤の普及につれて、アトピーに代表されるアレルギーが問題になっていくのが年代別の地図で対比して説明しています。自閉症スペクトラム障害の原因とも疑われています。自然分娩で赤ちゃんはお母さんから腸内フローラを受け継ぐのですが、帝王切開の赤ちゃんは受け継ぐ機会を損ねます。その違いで帝王切開の赤ちゃんでは自閉症スペクトラム障害を発症しやすいのではないかとされています。
肥満や自閉症スペクトラム障害の場合は、本来の腸内フローラでない細菌がたくさん腸に住み着いて、健常な人とは違う信号を脳に出して太ったり、自閉症スペクトラム障害を引き起こすわけです。腸内フローラと脳はお互いに神経でつながっていて、神経を通じて信号をお互いにやり取りしているからこんなことが起こるらしいです。
アレルギーの場合は、胃腸の壁の目が粗くなって腸管を通る異物が体の中に入りやすくなったことが原因と考えられています。異物がアレルゲンであればいろいろなアレルギーを引き起こします。通常は腸内フローラの細菌がびっしり腸壁に取りついて異物が体の中に入ってこないようにしています。最近 “Leaky gut / 漏れ腸” と呼ばれています。
その中でグルテンが取り上げされていました。グルテンはご存じのように鳥もちのように粘り気が強く、あれが道路にこびりついたガムのように腸壁にこびりつくのを想像するとあまりいいイメージではないですよね。イメージが悪いだけでなく、実際悪さをするようです。グルテン不耐性の人は腸壁の肌理の細かな組織を押し広げる働きをするタンパク質(Zonulin / ゾヌリン)をたくさん持っていて、グルテンのような大きなサイズのタンパク質でも体の中に入って行きやすい隙間を作ってしまうのだそうです。
As he suspected, the coeliacs had much higher levels of zonulin. Their intestinal walls were opening up and letting gluten proteins through into the blood, where they triggered an autoimmune reaction.
Collen, Alanna. 10% Human: How Your Body’s Microbes Hold the Key to Health and Happiness (p.135). HarperCollins Publishers. Kindle 版.
グルテンが腸壁にべったりくっつく × 腸壁に隙間を作るゾヌリン多めの体質 ⇒ アレルギー発症
原書にチャレンジする場合はこちらです。
カリフォルニア大学TVでも同じ話題を取り上げています。カリフォルニア大学サンディエゴ校が一般の人向けに最新の健康に関する話題をよく発信しています。この前は日本はどうしてコロナの発症率が低いのかということを日本の識者とつないで論じていました。
小麦製品なしでも豊かな食生活
しかしグルテンフリーを徹底しようとすると、「少なくとも嫁を救ったグルテンフリー」で紹介したように、パンや麺類はご法度です。そばも十割そば以外はダメです。グルテンフリーを始めたとはいえ、大阪生まれの私にとってお好み焼きやたこ焼きは料理以上に文化だったわけです。
思い返せば私自身、パンを若いころ毎朝食べていた時はよくお腹を壊していて、通勤列車を途中駅で降りてトイレに駆け込むこともしばしばありましたし、原因不明の湿疹が特に手の股に出て水仕事などの生活に差し障りがありました。
そういうこともあったので、生活の質を高めるためにはと思い、パンと麺類は一切止め、夕食は「低糖質 ソイピュアバー」、そうでなかったら「おからクッキー」に変えました。その後16時間断食を始めたので、夕食を摂らなくなったため最近はお世話にならなくなりました。
その他にも最近ではいろいろグルテンフリー食品がありますので、試して体調不良から脱却しましょう。
嫁のお奨めは「グルテンフリークリームシチュールー」と「グルテンフリー スパゲッティ」です。私もクリームシチューはいただきました。小麦粉の代わりに米粉を使っています。普通の市販ルーよりむしろコクがあって非常においしいです。昔は私も自分で小麦粉とバターで自家製ホワイトソースを作って、グラタンやクリームシチューを作っていたのですが、それが自分の体を蝕んでいたなどとは想像だにしませんでした。
スパゲッティの方は嫁曰く、小麦粉の代わりにとうもろこし粉・米粉を使っていてモチモチしています。
体のためには小麦と言わず、糖質を控えめに
グルテンフリーは当たりでした。ついでに言うと、さらに一歩進めて小麦と言わず、ご飯と言わず炭水化物・糖質を摂り過ぎていたことが血糖値を上げますので量を控えめにするとよいです。
私の母は今年からご飯を控えめにして代わりにタンパク質の量を増やすようにしたところ、健康診断でヘモグロビンA1cの値が5.9から5.6に下がったと言って喜んでいます。 ヘモグロビンA1cは血液中のヘモグロビンに糖がくっついている度合を示すことから長期的に血糖値が高い状態だったことを示すもので5.6が正常値上限です。私の母は長年糖尿病と診断される6.5手前をさまよっていたので快挙です。私も糖質制限をし始める前が5.6でギリギリ正常値だったのが、現在は5.4で上限値に対してマージンができました。
『サピエンス全史』の中で、ヒトは穀物を栽培して繁栄を勝ち取ったつもりでいるが、実は本当の勝者は穀物の方だという意味合いのことを言っています。 穀物がもつ糖質はヒトを「止めらせない、止まらない」ようにさせるようです。
Nobody plotted the Agricultural Revolution or sought human dependence on cereal cultivation. A series of trivial decisions aimed mostly at filling a few stomachs and gaining a little security had the cumulative effect of forcing ancient foragers to spend their days carrying water buckets under a scorching sun.
Harari, Yuval Noah. Sapiens (pp.88-89). Harper. Kindle 版.
その通りだと思います。
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