ドイツのアーティスト Zedd が 2020 年に “Funny” と “inside Out” の 2 曲を発表しました。前年に永久に中国入国禁止になったとツイートしています。 “Funny” は元カレがよりを戻しがっている内容の曲で、”inside Out” の方は、英中ハーフの Griff と共作で永遠の愛を願う歌です。深層心理は如何に。
Zedd とは誰?
Zedd はドイツの音楽プロデューサー、作詞作曲家です。音楽家夫妻の元に生まれて、崩壊前のソ連から3歳の時に、ドイツに移り住み、帰化しました。彼の人生からしてドラマチックそのものです。
出自からクラシック音楽バッチリです。ですので、EDM (Electronic Dance Music) の申し子ですが、クラシックをエッセンスに加えています。冒頭紹介した “Funny” という楽曲がまさにそうです。この辺は、「踏んじゃったかも Clean bandit の “Mama”」の回で紹介した Clean bandit に少し似ています。
有名どころのプロデュースをしたり、フィーチャリングし合ったりしています。例えば、Ariana Grande の “Break free” にフィーチャリングして演奏しています。Youtube の再生回数は 10 億回超です。それもそのはず「少々古いですが、”Chain to the Rhythm” は意味深」の回で紹介した Max Martin がプロデューサーとして関わっています。同じ回で紹介した Katy Perry とも “365” という曲で共演しています。Selena Gomez にフィーチャリングしてもらった “I Want You to Know” も聞いたことがある曲ではないでしょうか。何と、日本の安室奈美恵の楽曲を制作したこともあります。
中国から締め出しを受ける
ドラマチックな生まれ育ちが影響しているのでしょう。米国のシットコム “South Park” の “Band in China” というエピソードに反応してツイートで「いいね」したことが発端で、中国に永久に入国できなくなってしまったそうです。中国の検閲制度を皮肉った内容だったためのようです。
この時「やっちゃった」と思ったのかどうなのか、歌詞の解釈はオープンということなので、その後に発表した “Funny” と “Inside Out” に込められた彼の深層心理を推理したいと思います。
“Funny” はよりを戻したいという意思表明か
“Funny” は Jasmine Thompson との共作です。ですので、必ずしも Zedd の意図だけが反映されたものではありません。歌詞を普通に解釈すると、ある女性に新しい彼氏ができたのですが、元カレがよりを戻したがっていて、それだったら付き合っている時にもっと気遣って欲しかったと、彼女が心境を語る内容になっています。
ある女性を中国、元カレを Zedd と置いてみたらどうでしょう。この曲が発表されたのは折も折、コロナ禍の最中です。
Your timing is perfect, ironic to me / (女性)ちょっとタイミングよすぎない、嫌がらせ?
Showing up the moment that you shouldn’t be / (女性)お邪魔虫でしょうが
女性は続けます:
Last words you said that you couldn’t care less / (女性)あなたの捨て台詞(ツイート)は思いやりがなかったわ
It’s funny how you miss me / (女性)それは変よね、今さら恋しいなんて
このように何となく、Zedd が中国市場から締め出されたのに慌てている様子さながらと解釈できなくはないでしょうか?
“Inside Out” では、英中ハーフの Griff まで登場
続いて 10 月にリリースされた “Inside Out” では、イギリス人の父親と中国人の母親を持つ Griff をボーカルに迎えています。ちなみに、Zedd は演奏したり、ミュージック・ビデオで演技をしてセリフを語りますが、歌うところは見たことがありません。 ですので、曲にピッタリのボーカリストを探します。そして、英中ハーフの Griff を採用したのです。深読み過ぎるでしょうか。
ミュージック・ビデオをご覧になると、Griff が東洋系の顔立ちをしているが分かると思います。そして、衣装や髪形も中国を彷彿とさせるものになっています。ここでも、女性が Griff = 中国、男性が Zedd と置きましょう。
We stayed up all night talking to each other, whispers under covers / 私たちこっそり囁いて、夜通し語り合ったわね。
おやおや、徹夜で密談した結果、もしかしたら、Zedd が中国入国解禁になるのも間近なのでしょうか。
You told me your life wasn’t always easy, I said I know the feeling / あなたは自分が波乱万丈の人生を歩んできたと言ったわ。私はその気持ち分かると言ったね。
お灸を据えたのが効いたので、もう許そうというのでしょうか。
I told you all about the scar on my shoulder and you told me you’re terrified of getting older / 私は抱えているものを全部曝け出し、あなたはこのまま浦島さんになるのが怖いと言ったわ。
両者間で何か取引があったようなことを勘繰りたくなります。
I’m gonna love you, love you inside out / 私はあなたをまるっと愛することにするわ。
That’s a deal! 本当だったら、おめでとうございます。
MV は迷路の光景で終わる
それから2年。しかし、現実は前途多難と思われます。それを仄めかすように、ミュージック・ビデオの終わりは、迷路が広がる光景で終わります。
2022年現在、中国ではゼロ・コロナ政策が続いています。ですので、そもそも海外アーティストが中国公演でツアーするような状況ではありません。Zedd の楽曲自体が中国で禁止されているわけではないとのことなので、しばらく様子見ということかと思います。
マスクが外せない重苦しい状況が続いています。ミュージック・ビデオの中の Griff のように、晴れ晴れと迷路の上をピューンと飛んで行きたいものです。
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