水道水で十分だが、ミネラルウォーターより浄水器

Drinking Water 習慣

水道水をそのまま飲める国はそうそうないので、日本に生まれ育って運がよかったです。ですが、より安全でおいしい水を求めるのも悪くありません。「PETボトルに入ったナチュラルミネラルウォーターを買うんでしょう。」いいえ、違います。浄水器です。

ミネラルウォーターもいいですが…

水道水を飲める国ー日本。これだけで海外から羨望の眼差しを浴びます。蛇口をひねってコップに注げば即飲めます。東京都がやっている CM ですと、蛇口をひねってそのまま流れ出る水を口に注ぎ込んでいます。その CM を山手線などの電車内のディスプレイで流せる国はそうそうありません。

国土交通省『令和3年版 日本の水資源の現況』の「第7章 水資源に関する国際的な取組み」によると、北欧の国々とニュージーランドなど、そして日本を加えても、世界でたったの12か国です。地理の教科書と照らし合わせてよく見ると、海流の暖流と寒流が出会う沿岸地域、つまり雨や雪がよく降る地域が多いことに気づきます。

北欧ですと、北大西洋海流(暖流)と東グリーンランド海流(寒流)で、ニュージーランドですと、東オーストラリア海流(暖流)と西風海流(寒流)、そして日本は黒潮と親潮です。海産物に恵まれた地域でもあるということになります。まさに、島国あるいは半島国の利点です。

日本は、この恵まれた自然環境とテクノロジーを交配させて、地震大国でありながら、インフラを整備することができて、そのまま飲める水道水を家庭に届けることができているのです。

ですので、PET ボトルに詰めたミネラルウォーターをわざわざ買って飲む必要は必ずしもないのです。それに、ミネラルウォーターに分類される中でも、ナチュラルミネラルウォーターの場合は、少々お値段が高くなります。正真正銘の天然水源から採取して、ろ過・沈殿・加熱殺菌という物理的処理しかしていないものです。化学的処理をしていない分、〇〇化合物というものが含まるリスクは低いわけです。

でも「水道水は塩素臭くてどうも」という人は…

でも、「水道水は塩素臭くてどうも」という方も当然いらっしゃると思います。それだけでなく、塩素消毒は必要ですが、それによって、トリハロメタン(メタンCH4の水素が3つ、ハロゲンの塩素に置き換わったもの)を始めとする塩素消毒副生成物が気になる場合があります。発がん性などが疑われているからです。

ではオゾン消毒はどうかというと、これまた取っても取り切れないフミン質と呼ばれる有機物がオゾンと反応してホルムアルデヒドなどのオゾン消毒副生成物ができてしまいます。「シックハウス症候群」の原因物質のあれです。

と言っても、塩素そのもの、塩素消毒副生成物、オゾン消毒副生成物のどれをとっても、水質検査基準をクリアしているので、人体に対して急性の健康被害があるわけではありません。これ以上のことをやるかやらないかは、長期的な健康影響をどこまで気に留めるかという気分的な問題と費用対効果の判断になるでしょう。

浄水器がジレンマを解消してくれる

PETボトル詰めのナチュラルミネラルウォーターやウォーターサーバーを毎回買うか、水道水を飲むかの二者選択以外の第三の道はあるのでしょうか。あります。それが浄水器です。

私の場合は、当時住んでいたところの水道水が、なぜか塩素とは別の何か不思議な薬品臭がしていたため、これはまずいと思い、浄水器に走りました。この経験がなければ、今でも水道水のままだったかもしれません。

浄水器もピンキリなので、自分で詳しく調べる必要があります。今は国産品を使っていますが、以前は Seagull を使っていました。当時の謳い文句は「 NASA で採用」でした。2011年にスペースシャトルのアトランティス号を最後にNASA がヒトを大気圏外へ送り出すことがなくなって、最近はこの殺し文句は使っていないようです。

今は国産品も品質的に引けをとらないレベルなので、予算に合わせて選べばよいと思います。フィルターの質と量、それにフィルターに水がどれぐらいの時間、接触し続けているかが勝負と思います。

浄水器の見極めポイント

使用しているフィルターの質が問われるのは、微細な穴寸法のバラエティーをどれぐらい豊富に持っていて、水に溶け込んでいる様々な異物をどれだけの種類吸着して取り除けるかというところです。活性炭は表面に微細な竪穴が開いていて、そこに異物を吸着して押し込めます。人工透析でも使われる中空糸膜も登場します。しかし、有用なミネラルは取り除いてはいけないので、あまり肌理が細かすぎてもいけません。イオン交換膜はプラス同士、マイナス同士の反発力を使って、有害な金属イオンを除去します。

使用しているフィルターの量は単純に量が多ければ多いほど大きな水量を処理できます。フィルターには活性炭が含まれる場合がほとんどです。〇〇膜のような二次元構造ではなく、活性炭は立体構造をしているので、量が多いほど取り除ける水中の異物の量も多くなります。

また、水がフィルターを通過する時間が長いほど、水がフィルターに接触し続けているはずです。ですので、異物除去効果も高くなることが期待できます。ということは、蛇口に嵌め込むようなタイプはあまり効果がなく、一番よいのはビルトインタイプになります。少々なりが大きくなってしまうのが玉に瑕です。

もちろん、本体の初期投資とフィルターの定期交換でランニングコストがかかります。それでも、1リットル当たりのコストは 1~ 4 円程度です。PETボトルのナチュラルミネラルウォーターを買うよりかは桁違いに経済的なことが分かります。

携帯時は軽さ重視で PET ボトル

マイクロプラスチックの環境負荷影響が取りざたされています。ですので、あまりプラスチック製品を使うのは忍びないのですが、持ち運びにはとても便利です。ですので、私は外出時に浄水器を通した水を PET ボトルに詰めて携帯しています。

「それやったら、PET ボトルの使い捨てと変わらんやん」と言われかねないので、同じ PET ボトルをかなりの期間使い続けることにしています。衛生面の心配があるので、「ちょっと黄ばんできたな」という頃合いを見計らって PET ボトルを買い替えています。

最近の PET ボトルは薄手で潰しやすく、廃棄しやすいようになっているので、普通の PET ボトルではリユースを続けるとすぐに駄目になります。そのため、炭酸水を詰めた2リットルサイズの PET ボトルを買い求めます。炭酸水を詰めるだけあって気圧に強いように、大き目サイズの炭酸水 PET ボトルだけは昔からある分厚い PET のままだからです。

水道水でも別に悪くはないのですが、最近は汚水を水循環して再利用しているところも多くなってきています。蛇口があるからといって、必ずしも飲料水が流れ出てくるわけでもないのが現状です。そういう事情の変化もあるので、自分の中では費用対効果が釣り合うポイントとして、PET ボトル入り浄水器の水は欠かせないものになりました。

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