枕は本当に必要か?

横向き寝 科学技術
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考えてみると、不思議なのですが、動物の中でヒトだけが仰向けになって寝ます。もちろん、うつ伏せや横を向いて寝る人もいます。枕が必要なのは仰向けになって寝るからでしょう。しかし、枕があると、その姿勢に固定されてしまうので、本当にいいのでしょうか?

動物の中でヒトだけが仰向けになって寝る

動物の中でヒトだけが仰向けになって寝ます。仰向けになって寝ている動物の写真もありますが、恐らく飼い主がその姿勢にしたのだと思います。野生の動物はみんなうつ伏せというか、座った状態もしくは横向きで寝ます。

その理由を調べてみましたが、明快な答えには辿り着きませんでした。しかし仮説は立てられます。

肉食動物の餌食になる草食動物は、寝ている間に敵が襲いかかって来たら、すぐさま立ち上がって走って逃げ出すために、座った状態が望ましいでしょう。少なくとも横向きであれば、くるっと横転して押っ取り刀で群れに馳せ参じることができそうです。これが仰向けでは致命的に思えます。

肉食動物はどうでしょう。インターネットを検索すると、うつ伏せもあるにはありますが、圧倒的に横向きで寝ている写真が多いです。うつ伏せ寝の場合、肉食動物は頭が大きいので、固い地面の上に体毛が少ない顔が来ると、少々寝心地が悪いからではないでしょうか。

ヒトに近い霊長類はどうでしょう。大抵自分の腕を枕にして横向きに寝るそうです。ヒトでも古来伝統的な生活をしている民族では、霊長類と同じように、自分の腕を枕にして横になって寝るそうです。霊長類も頭が重いので、うつ伏せはきついのでしょう。でも、仰向けにはなりません。何か理由がありそうです。

マウスの実験では横向き寝が脳の掃除に最適

ボケる前の転ばぬ先の杖になる豆知識」の回で紹介したように、ヒトを含む動物は、眠っている間に脳にたまったアミロイドβやタウ・タンパク質といった老廃物を脳髄液で洗い流しています。脳の中の掃除が十分にできないと、アルツハイマー病などの認知症になるわけです。

眠っている時にしか脳は掃除を行わないので、睡眠時間は非常に大事です。もう一つ重要なのが寝姿です。マウスの脳を使った実験で、横向きで眠っている間が脳の掃除が最も効率的にできることが分かっています。次点は仰向け寝です。うつ伏せ寝というか座った状態が最下位でした。

マウスとヒトは違うでしょ、という突っ込みはごもっともです。だったら、シロクロつけるために、ヒトで同じ実験をすればいいじゃないかという意見もあるでしょう。正論です。もっとも、さすがになかなか倫理委員会の許可が下りないものと思います。

しかし、霊長類はみんな横向きに寝ているのでした。ヒトの近親種で、ヒトの次に脳が大きい動物である霊長類は、知らず知らずのうちに脳を最も効率的に掃除するために、横向きを寝姿として選択していることが考えられます。

仰向けで寝るのが腰痛にとっては最悪

仰向けで寝ない方が腰によいことも分かっています。NHKテレビの『ためしてガッテン!』という番組があります。その中で、寝返りを増やせば腰痛が解消する、という特集がありました。番組サイトの検索窓で「腰痛」で検索すると、出てくると思います。母親に教えてもらいました。亀の甲より年の功ですね。

仰向けになって寝ると、下から上に腰の筋肉⇒脊椎⇒お腹の臓器類という順に積み重なることになります。水分が多い臓器が重しになり、硬い脊椎を押し下げて腰の筋肉を圧迫するわけです。腰の筋肉が漬物で、その上に桶の蓋が載って、さらにその上から重しを置いているのと同じことです。腰の筋肉の血流やリンパの流れを悪くするのは明らかでしょう。

では、なぜ現代では、仰向けになって寝るのが、これほどまでに「はやっている」のでしょうか?霊長類や伝統的生活を今も営んでいる民族が横向きで寝ているのですから、人類が誕生してこの方ごく最近までは自分の腕を枕にして寝るというスタイルで通してきたと考えるのが自然です。仰向け寝は一種の「流行」にしか過ぎないのではないかとさえ思えてきます。

本当は枕は必要ない?!

以上のように見渡して来ると、私たちヒトは、敵に襲われたら、すぐさま逃げ出さなければならない草食動物ではありませんので、うつ伏せで寝る必要はありません。一方、動物の中で一番大きな脳を持っているわけですから、寝ている時のメンテナンスに一番気を使う必要があるはずです。慢性腰痛持ちにもなりたくありません。そうであるならば、ヒトにとってベストな寝相は横向きでしょう。

では、横向きに寝るのであれば、枕は必要でしょうか。霊長類や伝統的生活を今も営んでいる民族がしているように、腕枕で寝るのであれば不要です。

ということで、最近、私は枕をせずに横向きに寝るようにしています。これといった不都合は生じていません。

横向き寝の姿で自分の腕で腕枕すると、重たい頭が腕を圧迫して腕の血流が滞るのではないかという心配はあります。ずっと同じ姿勢で寝るのであれば、その指摘は間違いではありません。

しかし、ごく自然に寝返りを打つものなので、多くの人にとって、その心配は杞憂です。逆に、枕をすると、頭が枕の凹のくぼみに収まった状態になり、自然な寝返りを妨げるかもしれません。さらに言えば、ベッドや布団は平らな方が寝返りを打つには好都合です。

ここまで読んで納得なさった方は、枕なし横向き寝を実践してみてはいかがでしょうか。これでまたモノを一つ減らすことができました。これからもプチミニマリストを続けます。ではでは。

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