東京外国語大学言語モジュールは最初の取っ掛かりとして利用するには最適な教材です。やり始めて「やっぱりこの言語は自分には合っていない」と思っても、無料なのでスイッチング・コストは自分の学習時間だけで済みますので、是非活用してみてください。
東京外国語大学言語モジュールとは
東京外国語大学言語モジュールとは、東京外国語大学が外国語学習者のために無料で公開しているオンライン自習サイトです。発音・文法・会話の３つのモジュールが用意され、それぞれを自学できるようになっています。2021年8月現在で２７か国語が公開されています。
PC版だけでなく、スマホ版にも対応していて、使い勝手はほぼ同じです。ですので、いつでもどこでも学習できるところがうれしいです。日本で外国語教育の先頭に立つ大学が、初心者が入門のため独学するために、無料で予約もする必要なく言葉に触れる機会を提供していることに素直に「ありがとうございます」という気持ちです。
中国語の発音モジュールに感謝
中国語と日本語とは長い歴史の中でお互いに言葉を貸し借りしているので、共通の単語が多く読む分には割と敷居の高さを感じません。
しかし、取っつきやすい言語と取っつきにくい言語の回で紹介したように、こと発音に関しては日本語の音読みとは全く異なるため、漢字一つひとつについて覚えていかなければなりません。そもそも日本語の母音と発音が異なったり、母音の数も日本語が５つに対して中国語は７つです。その他にも子音の発音も英語に似た “f” や “l” 以外は独特です。
極めつけは声調です。中国語を学び出した頃、神戸南京町の中華料理店の中国人店員さんに「中国語勉強し始めました」という話をしたところ、「声調が難しいでしょう」と受け答えがあったのを記憶しています。中国人の皆さんにとっても難しいのだろうと思います。
例えば、「好」は日本語で「このむ」と「よい」の二通りの意味を持ちます。中国語の「好」もそうです。日本語では訓読みの読み方で区別しますが、中国語では声調で区別します。「このむ」の意味では第四声の「好（hào）」を使い、「よい」の意味の「好（hǎo）」は第三声です。
中国語の発音モジュールでは、このような日本語の発音と違うところを、かなり懇切丁寧に段階を踏んで、練習問題を取り入れながら、解説しています。ピンインで “zh” 、”ch” 、”sh” 、”r” で表される子音は「そり舌音」と呼ばれますが、発音するときの、口の奥にある舌と歯の位置関係などを事細かに描写して解説しているので、Youtube の動画を見るよりも「なるほどそういうことか」と合点がいくと思います。
文法モジュールは取っ掛かりの教材として使う
中国語、ポルトガル語、スペイン語とも文法モジュールは、「徹底実力養成コース」や「フルコース」を選べば、書店に置かれている詳説文法書並みの詳しい内容になっています。一度勉強をして「あれどうだったけ？」といった時に PC やスマホでアクセスして手軽に見返すことができるので、非常に便利です。
練習問題も付いていてインタラクティブなので、通勤電車の中でもスマホで学習できます。このようにいいところが多いですが、残念ながら問題数が少なく、割とやさしめなので、それぞれの言語のワークブックを買い揃えて補う必要があります。
私の場合、中国語は「中国語文法書の決定版『Why？にこたえるはじめての中国語の文法書』」の回で紹介している『Why？にこたえるはじめての中国語の文法書』をワークブックとして使いました。ポルトガル語は「立ち上げ期に最適なDuolingo」の回で紹介している Duoligo をワークブックとして使いました。スペイン語も Duoligo を使って鍛えているところです。
会話モジュールは動画付きがよいが、音声が悪い
会話モジュールはというと、動画付きなのが入門者には取っつきがよいと思います。ただし、音声が悪いので、もう少しいい音で勉強したい人は別の教材を使う方がよいでしょう。日常会話ではなかなか実践的な内容になっていますが、私は会話モジュールはあまり利用していません。
ただし、大きな書店に行かないと会話教材が手に入らない言語の場合は、貴重な音源です。私の場合、ポルトガル語がまさにそうだったので、ポルトガル語については会話モジュールを利用しました。
日常会話レベルですが、手加減しないナチュラルスピードで会話が進むので、聞き取るのがなかなか手強かったです。再生モードがいくつかあってその中に、１文１文を再生できるモードがあります。文の頭出しが簡単にできるので便利です。
入門として活用するには最適
ということで、東京外国語大学言語モジュールは最初の取っ掛かりとして利用するには最適な教材です。やり始めて「やっぱりこの言語は自分には合っていない」と思っても、無料なのでスイッチング・コストは自分の学習時間だけで済みますので、是非活用してみてください。
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