“得” が作る様態補語は事実度外視の大げさ表現

中国語の勉強 語学

中国語の構造助詞 “得” が作る様態補語は、直前の述部を修飾する副詞節の役割で、動詞句だったり、主語もある主述句だったりします。時に主節より長ったらしい場合もあります。それでも、中国人の先生によると、大げさな表現であり、本当のことでなくてよいそうです。

文の区切り目を示す構造助詞 “得”

構造助詞 “得” はその名の通り、文章の構文に関わる重要な区切り目を示すものです。下の文は一例です。

你高兴大家都跳了起来。/ みんなが飛び上がるほど嬉しかったんですね。

重要なのに話す時の声調は軽音というのが解せません。

節を作る役割という点が英語の “that” やスペイン語/ポルトガル語の “que” に似ています。そう言えば、”that” も話す時の韻律で弱く発音されて消えかかることが多いですし、文章でも省略されがちです。結構ないがしろにされています。

一方、スペイン語/ポルトガル語の “que” はちゃんと発音しますし、書き言葉でも省略されないだけの存在感があります。中国語の “得” は発音の扱いは英語の “that” のそれで、文字として存在感はスペイン語/ポルトガル語の “que” 程度あるわけです。

(中)你高兴大家都跳了起来。

(英)You were so happy (that) everyone jumped up and down.

(西)Tu estabas tan feliz que todo el mundo saltaba.

(葡)Você ficou tão feliz que todos pularam.

(日)みんなが飛び上がるほど嬉しかったんですね。

個人的には、獲得する意味の動詞としての “得” が第二声、義務を表す助動詞としての “得” が第三声なので、残る第一声もしくは第四声をあてがってもよかったのではないかと思います。あくまで助詞なので、あまり目立たない存在にさせれたのでしょう。

“得” が作る可能補語と程度補語は理解しやすい

同じ構造助詞 “得” が作る補語でも、可能補語と程度補語は理解しやすいです。

“得” +結果補語で可能補語にした例文です:

(中)我看清楚底部的 “C” 字。

(英)I can see the “C” at the bottom clearly.

(西)Puedo ver la “C” claramente en la parte más baja.

(葡)Posso ver o “C” claramente na parte mais baixa.

(日)最下段の「C」の文字がはっきりと見ることができます

この場合の “得” は、事実として「C」の文字を見ることができているのです。他の言語では全て「できる」の意味になって、節の区切り目ということが表しづらいですが、割り切って助動詞と考えてしまえば分かりやすいです。

程度補語としての “得” も分かりやすいです。例文です:

(中)除了通话功能以外,其他手机功能都方便得多了

(英)Other than the call function, all other phone functions are much more convenient.

(西)Además de la función de llamada, todos las otras funciones del teléfono móvil son mucho más cómodas.

(葡)Além da função de chamada, todas as outras funções do celular são muito mais convenientes.

(日)通話機能以外でも、携帯電話のその他機能も格段に便利になりました。

程度補語の場合は、”得多” の他、”得很”,”得不得了”,“得厉害” などお決まりの表現として、程度が甚だしいことを表現します。日本語の「格段に」、「甚だしく」、「恐ろしく」などのお決まりの副詞と同じと捉えて塊として丸ごと覚えれば済みます。

様態補語は事実でなくてもよい大げさ表現

“得” を区切り目としてその後に続く可能補語は事実として「できる」ことを表していました。程度補語は甚だしい程度を表すお決まりの表現でした。

では、様態補語はどうでしょう。再び最初の例文です:

你高兴大家都跳了起来。/ みんなが飛び上がるほど嬉しかったんですね。

今中国人の先生に中国語を教えていただいていますが、事実としてみんなが飛び上がるほどかどうかはどうでもよいそうです。様態補語は嬉しさの程度を伝える表現であり、事実を伝えたいわけではないそうです。目から鱗が落ちるほど驚きました。こういう感じに使うわけです。

日本の中国語参考書を見ると、上の例文の訳として「嬉しくてみんな飛び上がった」としているものが見受けられますが、この訳だと、本当に飛び上がったように読めます。ですので、訳す時にわざと「みんなが飛び上がるほど」としました。実際に飛び上がったかどうかはさておき、それぐらい嬉しいわけです。

ということは仮定法、接続法が適切なのか

ということは、中国語の様態補語の訳としては、英語の “that” 以下の節は仮定法、スペイン語とポルトガル語では接続法の方が適切な表現のような気がします。

(中)你高兴大家都跳了起来。

(英)You were so happy (that) everyone would(?) jump up and down.

(西)Tu estabas tan feliz que todo el mundo salten(?).

(葡)Você ficou tão feliz que todos pulem(?).

(日)みんなが飛び上がるほど嬉しかったんですね。

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