墜落事故から生還した子ども4人の記事をコロンビアの新聞で読む

morning sun 語学

各国で報道されているので、内容は大体分かっているのですが、コロンビアの新聞サイトをチェックすると、新しい発見があるか語学勉強がてら調べてみました。奇跡と報じられているだけあって、比較的長い記事がオープンアクセスになっていました。

コロンビアの新聞

最大部数を誇る全国紙の El Tiempo は残念ながら購読契約がないと読めませんでした。そこで今回はオープンアクセスだった El EspectadorEl HeraldoEl Colombiano の3地方紙を参考にしました。東京新聞、中京新聞、京都新聞ような感じで結構コロンビアも新聞社がたくさんあるのですね。

コロンビアの首都はボゴタ (Bogotá) です。日本と同じで首都一極集中が進んでいて、拡大都市圏でいうと 1,000万人規模です。南米ではブラジルのサンパウロ(São Paulo)、アルゼンチンのブエノスアイレス (Buenos Aires) と並ぶ三大都市です。

サンパウロに行った時は正直「デカい」と思いました。しかし、サンパウロの場合は首都ではありません。ブラジルの首都はブラジリア (Brasilia) です。ボゴタには行ったことがありませんが、政治経済の中心になっていることから、日本の東京都やアルゼンチンのブエノスアイレスと同じ位置づけです。

新聞の話に戻すと、全国紙の El Tiempo が日本の読売新聞や朝日新聞のような存在で、大きな影響力を持っているものと思います。

先住民の出自

セスナ機の墜落事故の後、1歳から13歳までの4人の兄弟姉妹が、最愛の母親を失ったばかりか、その他の同行した大人たちみんなが息絶えた後で、40日もの間アマゾンの密林の中をさまよった末、捜索隊に発見されて無事生還しました。どうやって生き長らえられたかについて、3紙とも異口同音に伝えるところでは、

  • 子どもたちは先住民の出で、特に13歳の長女が祖母からジャングルで生き延びる術を学んでいた
  • 捜索隊「希望の作戦 (Operación Esperanza)」に加わったシェパード犬が痕跡を残した

ことを挙げています。

1つ目の先住民というは、El Colombiano の記事の見出しが象徴的です:

“Existen fuerzas que el ‘hombre blanco’ no comprende”: así sobrevivieron los 4 niños perdidos en Guaviare” / 「白人には分からない強靭さがある」:これがグアビアーレで行方不明になっていた4人の子供たちが生き残った理由だ

捜索隊は8人の兵隊に3人の現地先住民が加わっていました。ただし捜索隊の先住民と4人の子どもたちは違う部族です。しかも、墜落した場所は彼らが知らない場所です。したがって、現地の先住民が残しているであろう、何かしら助けになるサインをジャングルの中で読み取るのは難しかったかもしれません。

それでも、祖母から教わった食べられる果物と中毒になるものを見分けたり、飲み水を確保するための術は大いに役に立ったことでしょう。

しかし、それだけでは済まないところがアマゾンの密林です。ブラジル・ポルトガル語話者が英語を学ぶためのコンテンツがDuolingo Podcast にあるのですが、その中のエピソードの1つに “Episódio 17: Urban Adventures (Aventuras na cidade)” があります。この中で、主人公の一人が National Geographics の契約カメラマンとして、グアテマラで珍しい鳥の写真に収めるために、ジャングルで寝泊まりする話が出てきます。夜になって、その寝床にやって来たのは、果たして黒豹だったのです。

そうなのです。猛獣もうようよいるのです。

… un puma, una culebra u otros animales menos peligrosos como los jabalíes o las arañas gigantes.

El Colombiano, “Lesly sabía los secretos de la selva y protegió a sus hermanitos”

ピューマやヘビ以外にも、タランチュラのような大蜘蛛が生息する危険な場所だったようです。それらの外敵を避ける先住民の知恵も役立ったことでしょう。

シェパード犬の存在

もう1つが捜索隊に加わった捜索犬です。Wilson と言う名前の犬です。この犬がいち早く4人の兄弟姉妹を見つけて、彼らと行動を共にしていたのです。捜索隊が近くにいることが分かったことで、彼ら兄弟姉妹がどれほどまでに元気づけられたことでしょうか。そして、この犬が残した痕跡が手掛かりになったのです。

猛獣などの餌食にならずに済んだのは、先住民として知恵よりむしろ、 Wilson が用心棒として出張っていたからかも知れません。しかし、途中で Wilson は子どもたちからはぐれてしまいました。鬱蒼と木々が茂るジャングルでは、視界はおろか子どもたちの体臭もかき消してしまったのでしょう。

残念なことに、4人の子どもたちが無事捜索隊に救出されたのに対して、Wilson は未だに行方不明だそうです。

しかし、捜索隊「希望の作戦 (Operación Esperanza)」は Wilson の捜索を打ち切らずそのまま続けているとのことです。戦友を一人たりとも残さないことを誓って…

この記事の続編が待ち遠しいです。『南極物語』タロとジロとの再会のようなドラマを期待します。きっと、映画になると思います。

[参考文献]

  1. El Colombiano, “Lesly sabía los secretos de la selva y protegió a sus hermanitos”
  2. El Colombiano, ““Existen fuerzas que el ‘hombre blanco’ no comprende”: así sobrevivieron los 4 niños perdidos en Guaviare”
  3. El Heraldo, “La hazaña de sobrevivir 40 días en la espesa selva del Guaviare”
  4. El Espectador, “La crianza indígena mantuvo con vida a los cuatro niños en la selva del Guaviare”

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