圧力釜を使って煮ると、魚を骨まで食べられることをご存じでしょうか?20分から30分とろ火でコトコトと煮ると、捨てるところなく食べられます。健康的、経済的、地球に優しいの三拍子そろっていてメリット大ありです。
健康的、経済的、地球に優しいの三拍子
結婚した時に、母親から圧力釜をプレゼントされました。最初のうちはもの珍しいこともあり、煮魚だけでなく肉じゃがやビーフカレー里芋の煮っころがしの調理に使っていました。その後飽きもあってしばらくキッチンの戸棚にしまわれたままになっていました。
しかしある時、「ここ最近の認知症の未来予測とボケ防止あれこれ(その2)」で紹介した書籍『アルツハイマー病 真実と終焉 / The End of Alzheimer’s』に、リーキーガットを改善して腸の調子を整えるには、ボーンブロスがよいという話が書いてあるのを見つけました。
そこでキッチンの戸棚で何年もほったらかしにしていた圧力釜を引っ張り出してきて、早速、豚のスペアリブを買ってきて骨まで食べられる「煮豚」にしました。何度かやりましたが、食べるには脂がきつく、脂をキッチンのシンクに流すと、冷えると固まってシンクが真っ白になるし、扱いが悪いので、その後金輪際やらなくなりました。
代わって鶏丸ごと一匹、鶏がら、手羽元や手羽先を買ってきて同じようにして骨まで食べていました。こちらは脂の掃除が大変ということもなくしばらくは続けたのですが、少々飽きたので他の種類も楽しみたい思っていました。ある日、母親に電話で「もらった圧力釜で骨付き鶏使ってボーンブロスやってんねん」という話をしたところ、母親が「鶏は食べられへんから(絞めた後の首がない鶏がトコトコ歩いているところを目撃して以来食べられなくなったそうです)、ほなブリのアラでやってみよう」という話をするではないですか。なるほど魚ならいろいろな種類があるからワンパターンにならないし、何より健康のためにはやっぱり魚でしょう、ということで魚に切り替えました。
しかもアラなら経済的です。牛・豚・鶏・魚で比べると食べられるまでに育てるための環境負荷は、鶏には若干負けますが、圧倒的に小さいです。おまけに丸ごと食べられて何も残りません。それに20~30分煮ますが、圧力釜を使うので、それほど強い火力は必要ありません。ですので、地球に優しいといえるでしょう。
魚の健康効果を丸ごといただける
魚ですので、まず現代人の食事で足りない DHA(ドコサヘキサエン酸) や EPA(エイコサペンタエン酸) と呼ばれるオメガ3脂肪酸を摂ることができます。特に DHA は直接脳の中の油として使われていますし、脳機能維持に欠かせないです。EPA も血液サラサラにしてくれますので、血の巡りをよくしてくれて体全体の健康維持にとってよいはずです。
また、骨や皮まで食べますので、骨を作っているカルシウムやコラーゲンをたくさん摂ることができます。「立って仕事を始めました」の回で立って仕事するように変えてから筋肉量や骨量が増えた(と思われる)という話をしました。この骨まで食べられる煮魚による効果もあるだろうと思います。
寒ブリのカマを煮たりすると、脂が乗っていてとろけるような舌触りでおいしいですし、サーモンもあの鮮やかな赤色で抗酸化作用があるアスタキサンチンが豊富なので、老化防止に効果があるでしょう。イワシの梅煮にすれば、梅干しが持つクエン酸がカルシウムの吸収を助けてくれるのではないでしょうか。マグロのアラも圧力釜なら骨まで食べられる柔らかさにできます。タイのかぶとも味噌汁に入れていただけばたんぱくな味わいを楽しめます。それぞれの魚の味わいが違っていて飽きにくくすることができます。
私はなるだけ素材の味が引き立つように、味付けは塩だけにしています。それに昆布、それから魚の臭みを抑えるためと、漢方薬の大半に配合されているらしいショウガを入れて煮ています。そのまま食べてもいいですし、味噌汁に入れてもいいですし、その時の気分でアレンジして毎日いただいて習慣にしています。
アラなら安い
刺身にする筋肉の部分は高いですが、身をそぎ落として残ったアラの部分はお店屋さんも捨てるよりは売った方がましということでお安く提供しています。煮魚にするとどんぶり鉢1杯分になる分量でだいたい 300 円台で手に入ります。
圧力釜を使えば、初期投資は必要ですが、ガス代はそれほどかかりません。20~30分煮ますが、蒸気圧で圧力が高くなると、水の沸点が高くなる現象を使って、あまり熱を加えなくても、高温調理ができることを利用しています。蒸気圧が高くなりすぎないようにするための振り子と呼ばれるものが付いていますが、それが振れるか振れないか程度の火力でよいので、最弱で煮ています。圧力釜の本体は長く使えますが、パッキンは時々交換が必要です。我が家には圧力釜が2つあります。1つは結婚した際に母親からプレゼントにもらった底が深い大きな鍋で、もう1つは数年前に嫁が買い足した底が浅い鍋です。どちらもアサヒ軽金属というところの製品です。古い方は既に売り切れになっていますが、後から買い足した方のモデルはまだ手に入ります。下の写真のモデルです。
圧力鍋があると、野菜の煮物はわずか1分で柔らかく煮上がります。肉じゃがのジャガイモの芯まで味が浸み込みます。普通の鍋に戻れなくなります。
当たり前ですが、生ゴミが出ません、ガスも出しません
魚の骨や皮まで柔らかく煮てたべてしまうので、当然ですが生ゴミが出ません。それに、動物性タンパク質源の中では、牛・豚・鶏・魚で比べると食べられるまでに育てるための環境負荷は、鶏に若干負けますが、圧倒的に小さいです。下のグラフは Our World in Data というサイトで公開されているデータから肉牛、乳牛、エビ、鶏、魚、豆腐の 1kg あたりの地球温暖化ガス排出量を比較したものです。
飼育するために必要な敷地面積なども考えると、圧倒的に群の抜いて肉牛が環境負荷が大きいのです。少なくとも、「牛肉はやめとこか」という気にさせてくれるデータだと思いませんか?
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