2022年1月に、2024年1月から電話回線をアナログ回線からIP網へ順次切り替え予定との通知がNTTから届きました。アナログ交換機が生産中止になり、サービスを維持できないためです。IP電話=5Gモバイル通信網と変わりません。存在意義が薄れています。
「固定」電話は「アコースティック」ギターと同じ
1987年公開のアメリカ映画 “Wall Street” に登場した携帯電話はダンベル並みに大きいものでした。それが時代が下り、今では手のひらサイズになりました。そして、電話と言えば、スマートフォンのことを指すようになりました。
昔ながらのアナログ回線を使った「元祖」電話の方は、「固定」電話と呼ばれることの方が多くなりました。ちょうどエレキギターの方がギターと呼ばれ、昔ながらのギターの方が電気増幅されていないということで「アコースティック」ギターと呼ばれるのと同じ構図です。
固定電話のよいところは、最近見かけなくなりましたが、ダイヤル式の黒電話ですと、別途電源がなくても、ダイヤルを回すことで電話がかけられるという点です。他にも、アナログ回線をカチカチ切り替えて物理的・電気的に二人の間だけが糸電話のようにつながるので、遠くにいても機密性が高い会話ができる点です。ですので、電車の運賃表のように、距離が長ければそれだけ回線を長くつないでサービスする必要があるので、通話料が高くなります。
それが、IP電話になるということは、インターネットを利用するのと同じことになります。距離には関係なく、携帯電話のように、データ量による従量制料金体系に変わることが予想されます。
要は携帯電話を1契約追加するイメージ
ということは、5Gの携帯電話契約をもう1つ追加するイメージになるということです。
NTTの資料「【別紙】固定電話のIP網への移行後のサービスについて」によると、基本料金は現在と同じとしています。毎月、千何百円は「固定」でかかるということです。今と同じといえばそうですが、それであれば、格安SIMの契約に乗り換える方が安上がりになります。
今までの電話番号がそのまま使えるので、商売をしていて、語呂合わせがよい電話番号を使っている人にとっては、今までと変わらず営業を続けられますのでよいでしょう。どの辺りに店を構えているかも電話番号を見れば一目瞭然です。
しかし、さらに時代が下ると、VoIP(Voice over IP)なわけですから、場所を意味する市外局番は本来必要としないものです。携帯電話のようにSIMカードを挿し替えれば、どの電話機にでも乗り換えられる仕組みは可能でしょう。そうなれば、携帯電話と何ら変わらなくなり、電話回線が有線を通るのか無線なのかの違いでしかなくなります。
固定電話番号に残された価値は
アナログ回線ならではの特徴がなくなる固定電話に唯一残る機能は、先ほどの店のような集団に割り振られる番号としての価値でしょう。それが一般家庭の場合は、家族に割り振られた番号となります。
しかし、家族に割り振られた番号は必要なのでしょうか。住所というユニークな番号が既にありますし、二重に家族に割り振るべき番号が必要かというと積極的な理由は見つけられません。
ましてや、政府はマイナンバー制度を導入して、積極的に国民一人一人に番号を振っています。家族単位の番号というは今のところ考えていないようです。住民票にもマイナンバーはありますが、「マイファミリーナンバー」のようなものはありません。
少なくとも、企業やその他団体のような集団での利用価値を脇に置いておくとすると、個人や家族にとって、固定電話番号の存在意義は限りなく希薄になってきていると言わざるをえません。
実際、今回のアナログ回線廃止の一件とは別に、報道を見れば分かるように、固定電話の解約率は年々下がってきています。このことからも、固定電話は歴史的使命を終えつつあるように見えます。
実家は固定電話を解約
実家の母に「固定電話を解約すれば、年間2万円程度浮くので、それでおいしいもの食べたら?」と促してみました。いろいろ調べた結果、金融機関などの登録情報を書き換える手間はかかりますが、これといって不都合なことはなさそうという確認が取れて、固定電話を解約しました。
それから数か月経ちましたが、携帯電話さえあれば全く不便を感じないそうです。
私はというと、妻の仕事の関係でどうしても固定電話番号が必要ということがあり、今は泣く泣く固定電話を維持しています。その縛りがなくなれば、プチミニマリストたらんため、契約を見直そうと考えています。
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