各国語に見る「かもしれない」推量表現の強弱

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話し相手が「…かもしれない」と言った時、つい「それって、何パーセントの確率?」と聞き返したくなります。日本語では「ひょっとして…かもしれない」、「十中八九…だ」など言葉を足して、推量の強弱ニュアンスを加えます。英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語ではどうなのでしょう。勉強のため、調べてみました。

推量表現のニュアンスは大体こういうこと

推量表現の話題で恐縮ですが、持っている書籍やウェブ情報、それから会話学校の先生のご意見を参考にすると、「大体こういうことだろう」というところを表にしてみました。品詞が入り乱れているのはご容赦ください。表の中に、日本語で表現した場合にどうなるか、凡その目安となる表現を加えました。

英・中・西・葡語の推量表現まとめ表

中国語の推量表現

漢字を見た感覚が日本語表現と大体合っているのではないでしょうか。確実性9割のところは、“一定”が「確実に」、「間違いなく」という意味合いで、“会” が「…だろう」という可能性を表す助動詞なので、“一定会” と「間違いなく…だろう」という表現は、日中でニュアンスが合っていると思います。

「概ね…だろう」は日本語で言い換えれば、「大概…だ」と言い表すことができるので、“大概” がピッタリきます。その他は “大概” の類語です。

「五分五分で…だろう」なら、“说不定” を使って、“说不定我足球队会赢” と言うと、「うちのサッカーチームが勝つのは五分五分だろう」という感じが出て、肯定も否定もできない感じを表すのに適当だろうと思います。

「そうかもね、可能性はあると思うよ」と日本語で言う場合の感覚が、中国語の “可能“ と合っているでしょう。

“也许” と “或许” はほぼ同じ意味で「ひっとしたら…かもしれない」というニュアンスです。“也许” が話し言葉でよく使い、“或许” の方は書き言葉です。また、北京出身の中国語の先生に伺いましたが、北京の人は “或许” をあまり使わないそうです。南方の言葉のようです。

ほぼありえない時の表現は、他の言語も含めて可能性を表す言葉を否定することに気づきました。ある種の婉曲表現なのでしょう。中国語の “不会” が一番簡潔です。「まさか!」は “不会吧!” です。

英語、スペイン語、ブラジル・ポルトガル語の推量表現

この3言語は成り立ちが近い間柄なので、使う単語を見ると、語幹が同じだったりします。しかし、微妙な違いも見て取れます。例えば、英語の “likely” です。明らかに語源がラテン語にないことが分かります。調べてみると、案の定、ゲルマン語が語源でした。

当然ですが、ブラジル人と英語で話す時は、”certainly”, “probably” や “possibly” ラテン語由来の言葉を使って英語にして話してきます。ですので、推量の強弱もほぼニュアンスが合っていると考えていいでしょう。

“maybe” は “may + be” に分解できるので、スペイン語の “puede ser” やポルトガル語の “pode ser” と近いニュアンスと理解できます。

異彩を放つのがスペイン語の “a lo mejor” です。最初 Duolingo (「立ち上げ期に最適なDuolingo」の回をご覧ください)でこの表現が出てきた時に、スペイン語の “a” は英語の “to” 相当で、”lo mejor” は英語で “the best” を意味するので、てっきり英語で言うところの “at best/せいぜい” かと思いました。しかし勘違いで、なんと「多分」という意味だったのです。スペインでは既に16世紀にはこの使い方があったそうなのですが、どうして「多分」の意味に転じたのか不明のようです(論文)。

英語の “perhaps” の方はというと、これを分解すると、”per + haps” で “per” が スペイン語/ポルトガル語の “por” と同じく英語で言うと “through” の意味で、 “haps” の方が機会の意味です。なので、「多分」の意味に変わったとしても、何となく意味が分からなくはありません。

言葉は生き物、結局微妙な違いは体得しかない

言葉は生き物です。結局のところ、いろいろ分類したり、ある尺度で測ってみたりしたところで、実際に言葉を使っている人たちの間でも個々人で尺度が違うものです。あまり気にかけずに使ってみて、相手が怪訝そうな顔をしたら、表現を入れ替えてみて様子を見るという試行錯誤をするよりないのでしょう。

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