中国語の口語表現なら『汉语口语速成』シリーズ

Short-term Spoken Chinese Pre-intermediate 語学

今回は『汉语口语速成 提高篇』を自分で勉強してみて、痒いところに手が届くとてもよい教材でしたので、紹介します。北京語言大学という外国人留学生向けの中国語教育機関が、短期間で留学生が生活する上で必要な中国語を叩き込むのに使っているシリーズです。ちなみに、第2版までは北京語言大学出版社から出版されていましたが、現在の第3版は北京大学出版社から出ています。ここで紹介するのは、北京語言大学出版社から出版された第2版の方の話です。悪しからず。

『提高篇』のレベル感

シリーズは下記の5つの編に分かれています:

  1. 入门篇:使っていないので、内容分かりませんが、『提高篇』の前書きの説明では、本当の初心者向けに発音練習から始まって文法の説明や最頻出単語や文型を学べる内容のようです。
  2. 基础篇:使っていないので、内容分かりませんが、『提高篇』の前書きの説明では、800単語程度を習得した人向けとなっていますので、HSK3級から4級辺りの実力を持った人向けの内容のようです。
  3. 提高篇:前書きの説明では、1,500単語程度を習得した人向けなので、HSK4級の実力は既にあり、次にHSK5級を目指しているような人向けです。
  4. 中级篇:使っていないので、内容分かりませんが、『提高篇』の前書きの説明では、2,500単語以上を習得した人向けということなので、既にHSK5級の実力を持っている人が、HSK6級を目指す内容のようです。
  5. 高级篇:使っていないので、内容分かりませんが、『提高篇』の前書きの説明では、3,500単語以上を習得した人向けなので、『中级篇』とこの『高级篇』を勉強終えた頃にはHSK6級の実力が身につくのでしょう。

発音がネイティブ並みになるかどうかはさておき、『高级篇』まで行ったら、会話表現としては一通り習得したことになるのでしょう。

メリット1:生きた口語表現の数々を学べる

このシリーズ自体がその名の通り口語表現を学ぶ教材です。『提高篇』を勉強してみて、こなれた口語表現が満載なので、「これは使える」と思いました。

同じ北京語言大学出版社がHSK級ごとの教材『标准教程HSK』シリーズを出版していて、通っている中国語教室で『标准教程HSK』シリーズを使って教えていただいているのですが、お行儀がよい書き言葉にやや偏っているので、実際にネイティブが話す簡潔な会話表現も学んでおきたいと思うと、『汉语口语速成』がよいと思います。

例えば、第6課で出てくる表現ですが、”······不说,······也 / 还······”という表現がありますが、『标准教程HSK』の“不仅······,而且······”と同じ意味で、「~だけでなく、~も」という意味です。日本語の語順だと、”······不说,······也 / 还······”の方がしっくりしますし、若干ですが、文字数が減っていて、話す時に簡潔になることが分かります。

第14課に出てくる口語表現の“一片”という表現も、”到处都是”と同じ表現で、「辺りすべてが」が「一面」になったような感じです。話す時に簡単になるのが分かります。

メリット2:中国語漬けになれます

日本の書店に置いている中国語の学習書籍は、当たり前ですが、日本語で解説しています。日本の出版社が出版している書籍で、中国語だけで解説しているものはあるにはありますが、かなり上級者もしくは研究者向けの書籍ぐらいです。

その点、北京語言大学出版社の教材は、そもそも外国人留学生向けの中国語教育を担っているわけですから、留学生向けに中国語を中国語で説明しています。「留学生向け」と書きましたが、留学生向けにレベルを落とした易しい表現にするという考慮の後は見られず、まったく手加減していないように見えるのも、留学生の中国語を短期間に立ち上げるため、中国語漬けにするための手段なのだろうと思います。獅子が千尋の谷に我が子を落とすような感じです。

『标准教程HSK』シリーズの方は、4級コースまでは英語の解説があります。5級コースから英語の解説がなくなり、中国語だけになります。ただし、『汉语口语速成 』シリーズも『标准教程HSK』シリーズもどちらも単語の英訳はついています。

ですので、少しばかりの英語はありますが、ほぼ完全に中国語漬けになれます。中国語養成ブートキャンプの教材としてはバッチリです。『提高篇』を首尾よくマスターできれば、『基础篇』の800語レベルから2,500語レベルにジャンプアップできます。巻末に単語表がついています。ちゃんと数えていませんが、ザっと計算すると、確かに700語程度並んでいます。

練習問題がたくさんあります。教室で使うことを念頭に作られた教材なので、残念ながら練習問題の答えは付いていません。しかし、書き言葉の口語への書き換え問題や本文の表現を借りてきて作文する問題などですので、ある程度答えが一意的に決まるものも多いので、それらについては解答は不要でしょう。新出単語数個を使って作文しなさいという課題もあります。この場合は、ネイティブ・チェックを受けられる人はお願いするのがよいでしょう。受けられない人は、「DeepL翻訳の翻訳は優れものです」の回で紹介した機械翻訳のDeepLを使って、日本語と自分の得意な言語に翻訳してみてダブルチェックしてみるとよいと思います。

メリット3:吹き込み朗読音声がナチュラルスピード

3つ目のメリットとして、音声CDなりMP3ダウンロードなりの吹き込み朗読音声がナチュラルスピードであることです。この点も手加減なしです。ただし、実際にYoutubeで見たりする街中の忙しない会話ほどは速くはなく、発音も明瞭です。教材ですので。

第11課に『有话好商量』という会話文があります。車で道を走っていておかまを掘ってしまった場面の掘られた方の怒った口調とそれをなだめようとする掘った方の掛け合いは結構ナチュラルスピードに近いと思います。

この音声CD、別売りでネットで販売されていたりします。しかし、買わなくても入手できる方法があることが分かりました。実は最近北京語言大学の東京校が北京語言大学出版社の教材をオンライン販売し始めました。販売している教材の中に残念ながら『汉语口语速成 中级篇』がありませんでしたが、問い合わせたところ、わずかだが在庫があるので、お分けできると教えてくれるではないですか。そして、音声CDも販売可能か重ねて問い合わせたところ、音声ダウンロードのQRコードを教えてもらえました。

今日、『汉语口语速成 中级篇』を手に入れ、MP3音声もダウンロードしたので、これらで中国語の自学を続けたいと思います。

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