中国国内で販売されている飲料に異変が起きています。少し前まで緑茶にまで加糖していたのが、今やこぞって「0糖0脂0卡 / 糖質ゼロ・脂質ゼロ・カロリーゼロ」で様変わりしているようです。中国でも糖質制限がポピュラーになりました。
「0糖」、「零糖」、「无糖」
中国の記事をチェックしていると、もう毎週のように「0糖」、「零糖」、「无糖」(どれも「無糖」の意味)という言葉に出くわすようになりました。中国人も糖質を制限した方がよさそうだということに気づいたようです。
日本でもそうですが、夏場が飲料メーカ同士の「大战 / 大戦」の修羅場と化すわけですが、昨年の夏辺りから「“0糖0脂0卡”概念爆火 / ”糖質0、脂質0、カロリー0”の概念が爆発的に普及」したそうです。中国国内の消費者アンケートで、季節限定銘柄(19.7%)が好きという回答の次に、無糖(15.5%)という回答が多かったそうです。
よく北京に出張に行っていた頃には、緑茶にも砂糖が入っていてゲッソリしていました。加糖タイプが普通で、無糖のものは人気がないので、コンビニで探して回るような感じでした。
それが、若い人たちの間で糖尿病が増えて、病院に担ぎ込まれる報道が相次いだことがきっかけで潮目が変わったそうです。また、砂糖は常習性が強く、「止められない、止まらない」という状態に陥ることも知られるようになったようです。
あのヘロインよりも常習性が高いことを説明する DW というドイツ国営国際放送が制作した番組を、私も見たことがあります。ヘロインと砂糖漬けにされたマウスにヘロインと砂糖どちらが好みか選択させる実験です。マウスはヘロインよりも砂糖水を選択したのです。
糖質控えめが脳にもよい
砂糖を含めた糖質は脳に必要なものには違いありませんが、過ぎたるは及ばざるが如しです。過度な砂糖が与える影響は見てきたところでは、以下の3つの悪さをします:
- 脳内で過剰にドーパミンが分泌してしまい、甘い物を食べるのが止められなくなる
- 消費し切れずに余ると、血糖値を下げるためにインスリンが分泌されて脂肪に変えられるが、脂肪は炎症を引き起こすので、炎症物質が体を駆け巡り、脳にも達し、脳内でも炎症を起こす
- 血中に余ったインスリンを分解する酵素は、脳内のゴミ取りコロコロ粘着シートであるアミロイドβを分解する仕事も担っているが、そちらに手が回らなくなる
- インスリンは大人の脳にもある神経幹細胞の延命に関わっているが、糖を脂肪に変えるのに消費されて、そちらに手が回らなくなる
4つ目は今回紹介する論文で明らかになりました。
糖質を控えると、脳を長持ちできる
脳内の神経細胞は一生もので変わらないものというのが、これまでの常識でした。しかし、「海馬」と呼ばれる短期記憶の部位では、神経幹細胞がそれなりに存在して盛んに新しい細胞が生まれています。
もう一つ「脳室下帯」というところにも神経幹細胞がいます。脳室とは脳の中ほどにすが入ったような空洞があると思います。そこです。その内壁の一部が脳室下帯と呼ばれるところです。脳が損傷を受けると、脳室下帯に存在する神経幹細胞から損傷した神経細胞が作られて、損傷した場所に移動していくことまで分かっています。脳室下帯の神経幹細胞はインスリンと結合する鍵穴を持っていて、インスリンと結合すると、” Self-renewal / 若返る” のだそうです。驚きです。
恐らく、狩猟採集生活を営んでいた古代人は食べ物に恵まれていなかったので、糖質いっぱいの生活はしていなかったでしょう。ですので、インスリンは糖を脂肪に変えるためのものとしての出番は少なかったことでしょう。主には神経幹細胞を若返らせるために使われるものだったのではないでしょうか。
そのインスリンが、今や本業の神経幹細胞を労わる役が果たせずに、糖を脂肪に変える副業ばかりをやらされているということです。もうちょっと、インスリンに本来の仕事をさせようではないでしょうか。そうすることで、認知症リスクを下げることができるはずです。
再び糖質制限
口にするもの全てを「0糖」、「零糖」、「无糖」にするのは論外ですが、間食をするにしても今流行のナッツにしてみるのはいかがでしょうか?飲み物の方は、水、お茶、ブラックコーヒーに変えてみるだけでも、随分ましだと思います。
他にもある糖質制限のメリットと体験談を「やる気スイッチが入る糖質制限」の回にまとめていますので、そちらもどうぞご一読ください。
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