ボケ除けには断然、水溶性食物繊維

科学技術

水溶性食物繊維を摂れば摂るほど、それだけ頭をシャープに保ち続けられるそうです。数千人規模の20年に渡る追跡調査を筑波大学が行いました。動物実験でも海外の研究でもなく、日本人が被験者でしかも大規模かつ数十年に渡る長期に渡るので、日本人にとっては信頼がおける調査結果です。

水溶性食物繊維優位をデータが示す

秋田県井川町、大阪府八尾市、茨城県協和町の3府県の住民 3,739 人を対象として、約20年に渡り食生活を聞き取り調査した研究が発表されました。追跡調査の結果、水溶性食物繊維の摂取量が多い人ほど要介護認知症の発症リスクが低いことが分かりました。一番少ない(1日 1.7g)グループに比べて、一番多い(1日 4.6g)グループは 38% もリスクを下げることができています。これはすごいです。

朝食はベーコンエッグとトーストで済ませて、昼食はコンビニのトンカツ弁当、夕食はハンバーグなどという食生活をしている人は一番リスクが高いことが分かります。

ハンバーグはおいしいですが…

食物繊維には2種類あって、大事なのは「水溶性」食物繊維であることです。水に溶ける食物繊維です。もう1つは、不溶性食物繊維です。文字通り水に溶けない食物繊維です。乱暴に言うと、トイレットペーパーとティッシュペーパーとの違いでしょうか。

なぜ水溶性食物繊維がよいのか?

では、なぜ水溶性食物繊維がよいのでしょうか?ちゃんとした答えはまだ出ていません。諸説あります。発表記事が元にしている論文には、Bacteroides 属と呼ばれる腸内細菌が水溶性食物繊維をエサとして繁殖するのがよい可能性を示唆しています。実際、Bacteroides 属が腸内に多い人は認知症発症率が低いという研究結果があります。こちらは規模は小さく、181人の日本人の検便をして調べた結果です。

ちなみに、「腸活スペシャルー海藻キムチ納豆の巻」の回で紹介した Bacteroides plebeius もこのバクテロイデス属です。 Bacteroides plebeius の中でさらに海藻のセルロースを分解できる酵素を作る遺伝子変異を持つ菌株が腸内から見つかっているのは、今のところ日本人だけだそうです。日本人の場合は、海藻を食べるのがよさそうです。発酵した大豆の納豆も水溶性食物繊維やオリゴ糖豊富です。

原論文が引用している他の研究でも、酢酸菌が水溶性食物繊維を分解して酪酸を作り、酪酸が脳の炎症を抑えてくれることを示しています。酪酸菌が胃酸に負けずに腸にたどり着くのか知りませんが、ぬか漬けの発酵に酪酸菌が関わっているので、私は朝食にひとかけら食べています。この酪酸の話は、「生活においしくグルテンフリーを取り入れる」で紹介した書籍『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた / 原題 10% Human』でも読みました。

ボケ防止には不溶性食物繊維は若干多めぐらいでよい

ボケ除けということに限れば、不溶性食物繊維をたくさん摂っても毒にも薬にもならないようです。ただし、一番少ない(1日 6.5g)グループよりも、ちょっとだけ多い(1日 9.1g)グループの方が 20% 認知症発症リスクを下げることができています。それ以上多く摂取しても効果はほぼ同じです。

とは言え、1日 9.1gは結構大変ではあります。食品成分表を調べても、野菜や果物はだいたい食物繊維は 1% そこらです。ゴボウでさえ100g中に5.7gなので、一日にゴボウを凡そ 200g 食べないと十分とは言えないのです。と言うことで、私は野菜の他にアボカド半個 100g 程度を食べています。成分表を見ると、これで 6.7g の食物繊維を摂取できます。

野菜や果物の食物繊維は概ね不溶性食物繊維のようです。果物をたくさん摂っても、あまり認知症発症リスクを下げられていません。せいぜいが 10%~15% 程度の効果です。野菜に至っては、量に関係ありません。いくら食べても認知症発症リスクを下げられていません。

意外にもジャガイモは食べ過ぎなければ効果大

ジャガイモが認知症防止に効果があるそうです。発表記事では単に「イモ」と書いてありますが、原論文を読むと、”Potatoes” となっているので、サツマイモではなくジャガイモのことだと思います。

血糖値を上げやすいデンプンの固まりというイメージしか持っていなかった私にとっては、目からうろこが落ちました。1日 50g の摂取ならば、35% も認知症発症リスクを下げられています。論文の中ではその理由については述べられていません。ジャガイモの食物繊維をエサとする腸内細菌が活躍しているのかもしれませんし、全く別の理由かもしれません。しかし事実は事実です。

1日 50g より少なくても多くても全く食べないよりは、2割程度認知症発症リスクを下げることができているので、きっちり量を管理するようなことをしなくても、ジャガイモはもっと食べてよいということです。今回の論文に隠されていた逸品情報です。

食生活の微調整します

今回の論文を読んでみて、ボケ除けには食生活も大事ということがよく分かりました。ちょっと食生活を微調整してみたいと思います。

  • 水溶性食物繊維はガンガン摂ろう
  • 時々ふかしたジャガイモを主食として1日 50g 程度摂ろう

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