最近、MCTオイルを使い始めました。ボケ防止の効果を期待してのことです。それが意外な効果が…。夏ともなると、少し歩くだけで汗が出て加齢臭が気になるところですが、めっきり減ったように思います。
MCTオイルとは
MCT (Medium-Chain Triglyceride) オイルは、中鎖脂肪酸と日本語にしてみてもよく分かりませんが、脂肪酸という単位が中途半端な長さに(炭素原子でいって6個から12個)連なったものを総称したものです。
みんな知っているのが、LCT (Long-Chain Triglyceride) オイルです。肉や魚の脂身や調理に使う植物油など、いわゆる油は大抵 LCT に当たります。飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、オメガ3/ 6 / 9 などは全て長く連なっているので、消化液で分解しないと吸収できないもので、LCT に分類されます。
SCT (Short-Chain Triglyceride) =短鎖脂肪酸もあります。「ボケ除けには断然、水溶性食物繊維」の回で酪酸菌を紹介しました。腸内の酪酸菌が水溶性食物繊維やオリゴ糖をエサにして酪酸を作り出します。実は、酪酸は短鎖脂肪酸の一種です。どちらもしっかり「酸」の字が最後ついていますよね。大腸や肝臓は短鎖脂肪酸を直接エネルギー源として使うことができます(論文1)。また、酪酸には脳の炎症を抑えてくれる効果があります(論文2)。
LCT / SCTに対して、MCT オイルはブドウ糖などと同じく腸壁をスッと通っていけるぐらいのサイズなのです。消化不要、吸収だけで済むのです。体にとっては楽ですね。
そして肝臓に運ばれると、ケトン体というものに変えられて、ブドウ糖と並ぶエネルギー源になります。MCT は母乳や牛乳にも含まれています。生まれたての乳飲み子は、MCTをケトン体に変えて基礎代謝の25%をまかなっています(論文3)。このケトン体、認知症予防・改善の効果が期待できるのです。
脳はブドウ糖だけに頼っているわけではない
脳はエネルギー源はブドウ糖だけではありません。ケトン体も使います。細胞の発電所がミトコンドリアですが、糖尿病になると、インスリン抵抗性ができて、血液から細胞の中へブドウ糖を送り込むことができなくなって、血糖値が下がらなくなるわけです。同じことが脳でも起こると、頭の回転が鈍るのは当然でしょう。これが認知症の症状を引き起こす原因の1つとみられています。人体には、そんなときのバックアップ回路がちゃんと備わっているのです。
また、血中にインスリンがそのまま長い間留まっていると、血糖値を上げたいときに上がらず、今度は低血糖になるので、インスリンを分解する必要があります。しかし、この分解酵素は他にも脳の中のアミロイドβを分解する役目も兼務していて、そちらに手が回らなくなってしまいます。詳しくは、「やる気スイッチが入る糖質制限」の回で紹介した『The End of Alzheimer’s / アルツハイマー病 真実と終焉』という本を調べてみてください。
人類史上でヒトは今の今までずっと飢餓に悩まされ続けてきました。ですので、脂肪やタンパク質など他のものをブドウ糖に変える手段はいくつも持っているのですが、ブドウ糖を他のもの(脂肪)に変える手段はインスリンしか持っていないのです。それも、これまではたまにしか出動する機会が来なかったので、別の仕事と兼務しているのです。
ですので、糖質制限するのがよいわけです。そうすると、足りない分は、別のエネルギー源に置き換える必要があります。それがケトン体、つまりはその原料である中鎖脂肪酸です。赤ちゃんが 25% はそうしているわけですので、大人にもできるはずです。
そして実験してみたところ、脳機能が改善したというわけです(論文4)。論文の中の被験者は若者です。若者にも効果的なのです。こういう場合大抵、めちゃくちゃな量を摂取しないと効果が出ないようなことが多いですが、1日 12g で十分だそうです。大さじ1杯程度です。これなら全く無理のない量です。逆にそれ以上摂っても効果が頭打ちになるそうなので、ちょうどよい量で落ち着いたといえるでしょう。2-3週間後から効果が表れ始めるそうです。
やり始めたところですが…
これで理論はバッチリです。やり始めて、1か月経ちました。私の場合は、「腸活スペシャルー豆乳ヨーグルトの巻」の回で紹介した豆乳ヨーグルトに混ぜたり、「野菜・果物、ココアにキノコ、ボケ防止はこれで決まり」の回で触れた温野菜にかけて摂っています。
何の臭みもえぐみもありません。単にヌルっとした油です。癖がありませんので、どんな料理とも合うと思います。ただし、炒め物をする際に、サラダ油代わりに使うのは止めてください。煙が出たり、泡立ったりして危険だそうです。
今のところ、目に見えて頭の回転がよくなったという感じはありません。既に糖質制限しているので、その上に屋上屋を建てても、効果てきめんとまではいかないのかもしれません。
それと関係するのかどうか不明ですが、夏ともなると、少し歩くだけで汗が出て加齢臭が気になるところですが、それがめっきり減ったように思います。ロウソクの蝋の香りと言えばいいのでしょうか。加齢臭はイヤなものですね。
日清オイリオの研究ですが、MCTには体脂肪を貯めにくくする効果があるようです(論文5)。ということは、加齢臭の原因の1つが皮脂に含まれる過酸化された脂質の臭いなので、脂肪が貯まらなければ、臭いの元にもならないのかもしれません。
今のところの調べでは、MCTと加齢臭との関係を示す科学的証拠は見つかっていません。ですので、「MCTオイルを摂ると、加齢臭がしなくなる」は仮説の域を出ません。悪しからず。
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