今回紹介する書籍は邦訳版は出ていないですが、『16時間断食ダイエットで嫁のいびきが消えました』の回で紹介した本『アルツハイマー病 真実と終焉』の内容にも相通じるところが多いので、この本で足りない部分を補うために参考にしていただければと思います。
血行、生涯現役、炎症、睡眠は定番
36Kr.comにDaniel Amen博士の著書 “Memory Rescue: Supercharge Your Brain, Reverse Memory Loss, and Remember What Matters Most” の書評が載っていました。邦訳版は出ていないですが、Amazonでの評価はそれほど悪くないですし、『16時間断食ダイエットで嫁のいびきが消えました』の回で紹介した本『アルツハイマー病 真実と終焉』の内容にも相通じるところが多いので、この本で足りない部分を補うために参考にしていただければと思います。英語書籍に対する中国語書評を日本語で要約する関係上、もしかしたら原書の内容とずれているところがあるかもしれませんがご容赦ください。
血行、炎症、食事、睡眠は定番のようで、 『アルツハイマー病 真実と終焉』 で書かれている内容とほぼ重なります。私自身が実践している習慣も交えてながら書評の内容を紹介します。
血行をよくする
先ず血行です。運動を週2回やって血行をよくしましょう。高血圧と高コレステロール血症には注意しましょう。カフェインとニコチンは控えめに。水分を多めに摂るとよいです。毎日2杯しか水を飲まない人より5杯飲む人は高血圧になるリスクを半分にできます。
ラケットを使うスポーツをしてください。小脳が鍛えられます。大脳にある神経の50%は小脳とつながっています。ラケットを道具と読み替えてもよいと思います。
『道具を上手に使えるようになると文法も得意になる…そして逆も然り』で紹介したように、道具を上手に使うのも文法を操るのも大脳基底核という実は古い脳に近いところにある部位が関係していたことを紹介しました。小脳と大脳基底核はどちらも運動を司っている神経中枢です。小脳は知覚からの情報だと動くとこうなるべきだが、実際はこうなってしまったからこのように修正するというフィードバックをやる場所です。一方、大脳基底核は動きを滑らかにすることに関係します。パーキンソン病の方の手足が震えるのは大脳基底核に問題があるからで、 大脳基底核に電極を当てて適切な電気刺激を与えると症状が改善することをご存じの方もいると思います。運動するということは脳の至るところが刺激されるので、血行がよくなる以上の効果があるはずです。
ハッピーリタイアしないで生涯現役を志す
年を取って静かに受け身の娯楽に興じてばかりいると、使わない機能は要らないものとしてどんどん閉店していくので、とにかく使い続けるのがよいようです。毎日15分は語学、楽器演奏、ダンスなどに取り組みましょう。仕事を続けないのであれば、近所のボランティア活動に参加して他の人と交流しましょう。毎日12時間から16時間の断食をして脳の掃除をしましょう。あとで詳しく説明します。
炎症を抑える
歯周病は作らないようにしましょう。ある人はちゃんと治療しましょう。The Economist 誌が Youtube に上げている “Why is Alzheimer’s still a medical mystery?“ とう題名の動画で歯周病菌が脳の中で炎症を引き起こす酵素を作ることを紹介しています。
私も歯磨きとフロスがけはしっかりやっています。歯を磨くときは「ConCool ジェルコートF」を使っています。 この歯磨きジェルのよいところは、歯周病菌を殺菌できる塩酸クロルヘキシジンという薬剤が含まれているところです。これを使い出してから歯科検診で歯周病を指摘されたことはありません。
脳に近いお口のケアは大事ですが、腸活も大事です。免疫細胞の7割が腸に集まっているので、腸に善玉菌が多いと、むやみやたらに戦う必要がないので慢性炎症が抑えられます。『生活においしくグルテンフリーを取り入れる』を合わせて読んでいただくと、腸内フローラを整えることの大切さをお分かりになると思います。私の実感として、16時間断食をしつつ、グルテンフリーと糖質制限を心がけるとかなり腸の調子がよくなり、理想的なお通じになりました。
安眠は時間の浪費ではなく、長い老後のおとも
動物は眠っている間に脳の中の掃除をしています。イルカも四六時中海の中を泳ぎながら、左脳と右脳を器用に片方ずつ時間をずらして眠らせています。なぜ睡眠しなければならないのか本当のところは分かっていないようですが、もしかしたら、脳の中の掃除をするために動物は眠っているのかもしれません。
YoutubeにアップされているTEDの「ジェフ・イリフ: よく眠る事が大切なもう一つの理由」で、眠っているまさにその時に脳の中を掃除している様子が映像になっています。眠っているマウスの脳の中で脳髄液が脳にたまった老廃物を洗い流しています。体の他の部位と違って、脳には血管はあるのですが、脳細胞をとにかくたくさん詰め込むために、リンパ管を配管するスペースをケチっています。それで眠っている間に血管の径を少し細くして空いたスペースに、箸伝えに水をコップに流し込むようにして、脳髄液を流し込んで掃除をするのです(1)。初めて見たとき感動しました。そして「ちゃんと寝よう」と改心しました。
2024年10月に発表された論文で、この仕組みはヒトでも全く同じだということが、患者の脳腫瘍を切除する際に撮影したfMRI画像で明らかになりました(2)。もう寝る間を惜しんで仕事をしている場合ではありません。スマホを弄る間を惜しんで、夜にまとまった時間を確保してぐっすり寝るしかありません。
生活習慣のパワーを味方につけましょう
書評は他に遺伝、脳損傷、毒素、メンタルヘルス、免疫と感染、神経ホルモン欠乏、糖尿病について取り上げています。
遺伝要因がすべてではありませんので、生活習慣を正してリスクを減らそうということです。
脳損傷は生きている限り大なり小なり受けるでしょうから、アメフト、ボクシングなど常に脳震盪のリスクがあるスポーツは避けましょう。年を取ってからこのような激しいスポーツをやる人は少ないでしょうが、若いうちから気をつけましょう。
毒素では、カビは厄介なので、部屋の掃除はこまめに。酒とたばこは控えましょう。
メンタルヘルスには自然の中を散歩したり、瞑想がよく、PCやスマホの使い過ぎにご用心を。ブラックチョコレートは精神を安らかにする効果があるそうです。私は緑が多そうな道を朝散歩して、毎朝にブラックチョコレートの代わりにカカオ豆をボリボリやっています。
免疫力を高めるには、慢性炎症の元になるアレルゲンを避けるようにしましょう。どれが自分のアレルゲンになっているかは、1か月ぐらい食材から1品ずつ抜いて試しましょう。お笑い番組を見て大笑いするのも免疫細胞を活性化させます。日の光を浴びてビタミンDを自己生産しましょう。朝散歩最高です。
神経ホルモンを増やすには、食物繊維をたくさん摂りましょう。腸内フローラを整えると、善玉菌が神経ホルモンを作ってくれます。筋トレは男性ホルモンであるテストステロンの分泌を促します。神経ホルモンの原材料がたくさん含まれる鶏卵を積極的に摂りましょう。本当は人工飼料でない自然の餌で育った地鶏の卵がよいのでしょうが、それが難しければ、せめて平飼い鶏の卵にしましょう。ホルモンをかく乱する可能性があるので、なるだけ化学調味料やプラスチック食器などは使うのを控えましょう。
糖尿病予防には糖質制限ダイエットがよいです。朝食にタンパク質やシナモンを摂ると血糖値を安定させてくれるそうです。最後に太り過ぎには注意しましょう。1日2食の16時間断食をやれば太らないで済むと思います。
以上残りのトピックは駆け足でした。どれか一つでも日常生活に取り入れてみませんか?
[参考文献]
- Iliff JJ, Wang M, Liao Y, Plogg BA, Peng W, Gundersen GA, Benveniste H, Vates GE, Deane R, Goldman SA, Nagelhus EA, Nedergaard M. A paravascular pathway facilitates CSF flow through the brain parenchyma and the clearance of interstitial solutes, including amyloid β. Sci Transl Med. 2012 Aug 15;4(147):147ra111. doi: 10.1126/scitranslmed.3003748. PMID: 22896675; PMCID: PMC3551275.
- Erin A. Yamamoto, Jacob H. Bagley, Mathew Geltzeiler, Olabisi R. Sanusi, Aclan Dogan, Jesse J. Liu, Juan Piantino. The perivascular space is a conduit for cerebrospinal fluid flow in humans: A proof-of-principle report. Proceedings of the National Academy of Sciences, 2024; 121 (42) DOI: 10.1073/pnas.2407246121
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