ご存じの方も多いと思いますが、ブルーベリーやクランベリーなどのベリー類を毎日食べると、記憶力がアップするそうです。認知症になってから改善効果があるかはまだよく分かりませんが、健常な人を対象にした研究では記憶テストの成績がよくなります。毎日ベリーを食べて頭をしゃっきりさせましょう。
クランベリーは記憶力を高める
英イースト・アングリア大学によると、50代から80代の男女29人を対象に12週間フリーズドライのグランベリーを毎日食べてもらったところ、記憶テストの成績がよくなりました。記憶テストと言っても、さまざまな種類のテスト項目の中で、目で見て体験した出来事を忘れず覚えていられるかを確かめる項目がよくなりました。残念ながら、その他のテスト項目で如実によくなったものはありませんでした。
とはいえ、この記憶力、いわゆる視覚的エピソード記憶力は、普段の生活や仕事をする上でカギになる能力だと思います。小さなところでは、トランプゲームの神経衰弱に連戦連勝できるわけです。大きなところでは、歴史的なバブル崩壊の経験を覚えていて、再び同じことが起ころうとした場合に、予兆に気づいて見事に売り抜けることができるかもしれません(※日本はそうでもありませんが、現在、米国やドイツなど、世界的に不動産バブルになって来ているので、注意しましょう)。
毎日習慣づけてクランベリーを食べるだけで、視覚的エピソード記憶力がよくなるのですから、願ったり叶ったりです。クランベリーに含まれる色素のアントシアニンとアントシアニンに変わる前の物質が関係しているようです。被験者の脳のMRIを撮ったところ、視覚的エピソード記憶に関連する部位に、これらの物質が体内で代謝した後にできる物質が集まっていることが確認できています。
しかし、こういう研究にありがちですが、毎日食べるクランベリーの量が半端ではありません。今回の研究でもフリーズドライしたクランベリーの粉末4.5gを毎日食べるのですが、その量は生のクランベリーでいうと、100gになってしまいます。
「プチミニマリストで行こう!」の回で、世界的にベストセラーになった “Life Span” という本を紹介しました。この本の中で、若返りの特効薬として NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)が紹介されています。1日の適用量下限が 100mg らしいですが、100mg の NMN を摂取しようとすると、40kg のブロッコリーを食べる必要があるので、無駄な努力は最初からしないと、きっぱり諦めがつきます。
その論でいうと、生グランベリー 100g は微妙なところです。努力次第で食べることはできます。しかし、一般的な体格の人ならば、きっと他のものを食べるお腹の余地がなくなるジレンマが起こります。ちなみに、どこが資金援助しているか調べてみると、論文の最後の方に、案の定ありました。”The Cranberry Institute” というところがパトロンでした。試験結果に嘘はないでしょうが、むべなるかなです。
ブルーベリーは記憶力・判断力強化、老化予防に効く
日本ではクランベリーよりもブルーベリーの方が手に入りやすいので、同じベリー類であれば、ブルーベーリーの方が気になります。そもそもアントシアニンでいうと、クランベリーよりもブルーベリーの方が多く含まれているので、なおのこと気になります。
ブルーベリーに関しても論文が出ています。Open access ではないため、詳細不明ですが、同じように健常な被験者9名に12週間毎日ブルーベリージュースを飲んでもらったところ、上のクランベリーで行った実験と同じように、トランプゲームの神経衰弱に似たテストで成績がよくなりました。単語をどれだけ覚えていられるかというテストの成績も上がったそうです。
この結果を見る限り、語学のお供にベリー類がよいようです。特に、はっきりと単語記憶力が高まったというエビデンスなので、ブルーベリーは語学に持って来いだと思いました。
他にも、判断力を測る実験で、ブルーベリーは即効性を示しています。生ブルーベリー 100g に相当するジュースを飲んで8時間の間で判断能力の低下具合がどうなるか調べました。判断力は朝から晩まで起きている間に段々低下していくものです。ところが、ブリーベリージュースを飲むと、判断力の低下具合が抑えられて、ミスが減ることが確認できています。飲まない場合と比べた差は微妙ですが。
この実験では血液検査も行っていて、食後血糖値とインスリン濃度がどちらも下がりました。「やる気スイッチが入る糖質制限」の回でも触れたように、食後血糖値が上がり過ぎると、インスリンが大量に出て、今度は逆に血糖値が下がり過ぎて眠くなってしまいます。また、血糖値の激しい上下動が酸化ストレスになったり、タンパク質を糖化して老化が進んだり、細胞がガン化したりします。同じことが脳細胞に起こると、認知機能低下につながります。ブルーベリーは老化を緩やかにしてくれる強力な助っ人なのです。
悩ましいドライフルーツとしてのベリー
ベリーはよくドライフルーツとして売られています。しかし、ドライフルーツは砂糖漬けにしているので、糖質制限という観点では真逆のことになってしまいます。注意が必要です。ネットで砂糖漬けにしていないドライフルーツも探せばあるにはあります。しかし、毎日の食事に加える食材として、スーパーなどで買おうとすると見つけるのが至難の業です。
ですので、私は生のブルーベリーをなくなりかけたら都度買うようにしています。今のところ、それよりよい方法が見当たりません。ですので、暇ができたら、自分でドライフルーツにしてみたいと思います。
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