語学教材でCD付きもしくは音声ダウンロードがないこと自体が珍しくなってきていますが、ネイティブスピーカーがナチュラルスピードで話しているものは限られます。ブラジル・ポルトガル語は比較的マイナーな言語ということもあり、輪をかけてそのような教材が少ないです。そんな中、今回紹介する『ブラジル・ポルトガル語 リスニング』(浜岡 究著)はナチュラルスピードのブラジル・ポルトガル語をリスニング・テスト形式で学習できる数少ない書籍です。
初級から中級まで使える
ちょっと詰め込み過ぎかもしれませんが、初級から中級までをターゲットにして、初級者向けのあいさつに始まり、道を尋ねる場合やスーパーマーケットでの安売りアナウンスなどT.P.O.に応じた会話文のレッスン(ブラジル・ポルトガル語では “Lição” )がLição 21 まで続きます。
その後、Lição 22 の天気予報辺りから長文聞き取りに変わり、以降はレベルとして中級の域になります。話題も興味深いものです。ブラジルの代表的なスポーツであるサッカーやカポエイラの歴史や経済や環境問題など時事ネタも取り上げています。この辺になると、この本で勉強し始めた頃の私の実力では最初聞いただけでは歯が立ちませんでした。
ですので、本書の使い方として、初級のうちは 「Lição 1 あいさつ/紹介/仕事」から 「Lição 21 宅配(宅配ピザなど)」を繰り返し勉強して、リスニング・テストで聴き間違わなくなってきたら、中級レベルになるために「Lição 22 天気予報」以降に移行すればよいと思います。
主語を省略する会話表現に慣れる
先ず、基本中の基本ですが、人称代名詞の主語が省略されるため、動詞の語尾変化を聞き取って、誰のことを話しているのか判断しなければなりません。文法書とその付属音声では、割と行儀よく人称代名詞の主語が書いてあったり、読まれたりします。しかし、生きた会話文の場合は、人称代名詞の主語が省略された会話文だらけなので、誰が主語か聞き当てる練習が必要です。これは本書に限った話ではないのですが、ネイティブスピーカーのナチュラルスピードで練習ができます。
ポルトガル語だけでなく、スペイン語の場合もそうで、今勉強している Duolingo の会話文は大抵の場合、人称代名詞の主語が省略されています。動詞の語尾変化が似ているので、ポルトガル語をやっておいたおかげで、Duolingo のスペイン語レッスンの中に出てくるリスニング・テストにそれほど違和感がなく答えられています。Duolingoについては、「立ち上げ期に最適なDuolingo」の回で詳しく書きましたので、そちらも是非ご覧ください。
実用的表現が満載
「はじめに」の中に「このようなことが聴き取れると、滞在生活がもっと豊かになる」というように、T.P.O.に応じた表現が確かに数多く載っています。
例えば、「Lição 1 あいさつ/紹介/仕事」に出てくる “está na minha hora” は、何か会合の途中で中座するときなどに使えそうな表現です。「Lição 22 天気予報」ではお天気の表現だけでなく、ブラジルの地理も学べます。
その他の言語含めてあまり類書では見受けられないものとして、「Lição 26 お家でクッキング」でテレビの料理番組を模擬したようなナレーションがあります。お菓子を作る場面なのですが、聞く⇔スクリプト読むを繰り返していると、段々作っている光景が目に浮かぶようになります。いかんせん、「やる気スイッチが入る糖質制限」の回で紹介したように、個人的に糖質制限しているので、「あかーん、目の毒や~」というか耳の毒です。
リスニングで光景が目に浮かべは、視覚野が鍛えられる?
こうやって考えると、会話文なり長文ナレーションなりのリスニングで、光景が目に浮かぶようになると、「ボケないためには脳の視覚野が大事」の回で紹介した脳の視覚野が鍛えられているのかもしれません。寝ている時に、まさに勉強している外国語を自分が話している夢を見ると、結構上達したという証だという人がいます。何となくうなずけます。
マルチリンガルの道は険しいですが、脳の健康にも仕事にも役立つのでしたら、がぜんやる気が出ませんか?
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