カカオ豆をそのままいただきましょう!

カカオの実 科学技術

ダークチョコレート健康ブームです。どれも「カカオ XX %」と訴えます。でも考えてみれば、所詮チョコレートは加工食品です。プチミニマリストの血が騒ぎます:「カカオ豆自体を食べれば 100% では?」と。私はダークチョコレートより風味がよいと思います。さすが「神様の食べ物」です。

再び脚光を浴びるチョコレート

チョコレートを口にする機会がめっきり減りました。バレンタインデーの義理チョコかお土産として食べるぐらいです。チョコレートは甘いので、親戚にヘモグロビンA1C値が 8 近くの人が多い典型的な糖尿病血統ということもあり、避けるに如くなしです。甘いチョコレートは歯にへばりつきますので、磨かずに放っておくと虫歯の原因にもなります。そういうことで、最近はチョコレートとは縁遠くなっていました。

ところが、カカオが健康によいということが分かってきました。そうすると、チョコレートとしても健康によいことを打ち出す必要があります。都合の悪い部分を何とかしなくてはなりません。砂糖の甘さを控えたり、砂糖ではない甘味料で甘くしたチョコレートが登場してきました。そして果ては、甘くないダークチョコレートです。カカオ含有量の高さを売りにして、再びチョコレートがスーパーの店頭を賑わすようになりました。

しかし、ここでよく考えてみてください。例えば、カカオ 90% のダークチョコレートというものが売られています。買って食べてみましたが、かなり硬くてボリボリとせんべいを食べるような食感です。調べてみると、カカオ 100% のダークチョコレートというものも世の中にあります。カカオ豆を粉砕したものを、同じくカカオから抽出したカカオバターで固めたものです。「そこまでしてチョコレートを食べなくても」と考えてしまいます。

カカオが本当に入っているのかと思う味をしたチョコレートが溢れていた頃を思い起こすと、隔世の感があります。

カカオの効能

カカオには、テオブロミンやカフェインが含まれているので、体が活動的になる一方で、心は逆にリラックスするという効果があります。

また、ポリフェノールやフラボノイドが、多いと言われているワインや「毎日リンゴ1個で医者要らず」で有名なリンゴの 4 倍近くあります。ポリフェノールやフラボノイドは強い抗酸化作用を持っているので、炎症を抑えてくれます。そしてひいては、老化も抑えてくれます。

他にも、ミネラルが豊富です。特にマンガン、マグネシウム、鉄、リン、亜鉛、カリウムを多く含みます。

複数の研究をかき集めて、 508,705 人の被験者のデータをメタアナリシスした結果、心臓病リスクを10%下げ、脳卒中リスクを 16% 下げ、糖尿病リスクを 18% 下げてくれることが分かっています(論文1)。1 食 30g 程度のチョコレートを週に2~3回食べる程度で十分だそうです。

別の研究では、 90 人と被験者数が少ないですが、認知症予防にも効果的との報告もあります(論文2)。この論文は他にインスリン抵抗性を下げる効果も確認しており、論文1と同様に、糖尿病リスクを下げる効果があることを示唆しています。

女性には嬉しい美肌効果も確認されています(論文3)。紫外線によって肌はダメージを受けます。それが皴やシミの原因です。カカオに含まれるフラボノイドは、肌が受けたダメージを修復するのに関係する遺伝子を活性化するそうです。皴やシミができにくい肌にしてくれるのは嬉しいことです。

以上、カカオの健康効果をまとめると以下です:

  • メタボリック症候群(心臓病、脳卒中、糖尿病)予防
  • 認知症予防
  • 肌の老化防止

しかし本当は△チョコレート 、〇カカオ

しかし、見誤ってはいけないのは、健康効果の源は「カカオ」であって、チョコレートというわけではないのです。その証拠に、チョコレートのパッケージは声高に「カカオ XX%」を競っています。カカオ 100% のチョコレートを除けば、カカオ以外の成分も含まれているということです。

カカオ以外の成分の中に砂糖であれば、健康効果は減免されるでしょう。「やる気スイッチが入る糖質制限」の回で紹介したように、私は糖質制限を始めて体調がよくなりました。日中眠たくなくなって活動的になりました。「やはり糖質過多は脳の老化を早める」の回で書いたように、糖尿病と認知症は深い仲です。糖尿病の血統でもあるので、砂糖はご法度です。

また、チョコレートの製造方法によっては、健康効果を担うポリフェノールやフラボノイドが除去されてしまう製法があります。ポリフェノールやフラボノイドは成分表にも出てこないものです。ですので、加工されてしまうと、残っているのかいないのかよく分からなくなってしまいます。

その他のカカオ製品、例えば、ココアはカカオ豆からの抽出物です。カカオ由来 100% であるには違いありません。しかし、「カカオ 100%」ではありません。今度はカカオに含まれる成分を引いてしまっているのです。ココアはカカオマスから作られます。カカオマスとは、カカオ豆の「胚乳だけ」を擂り潰したものです。皮と胚芽を取り除いてしまいます。玄米を白米に精製するのと同じことです。せっかくの豊富な食物繊維が失われますし、その他の栄養成分も減ってしまうでしょう。

ですので、カカオ豆をそのまま食べるのが正解です。

探せばあるもの

探せばあるものです。一部のスーパーに、その名もズバリ「世界のきのみーそのまんまカカオ」(谷貝食品)が置いてありました。カカオ豆そのものです。原材料表示は実に簡単です。ご覧のように「カカオ豆」以上です。「原材料名」の欄が大きいのに書いてあるのは「カカオ豆」の4文字だけです。プチミニマリストとしての私も納得です。

「そのまんまカカオ」の原材料表示

中身のカカオ豆もこんな感じです。

中身の混じりっけなしカカオ豆

これを数粒いただくのが日課になっています。かじると、その瞬間からチョコレートの香りが口の中に溢れて心が和みます。私はダークチョコレートより風味がよいと思います。ギリシャ語で「神様の食べ物を」意味するカカオの健康効果をそのまま享受したければ、カカオ豆をそのままいただきましょう!

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