さよならKindle@中国

Kindle 語学

Amazon.com が 2013年6月から中国で展開していた電子書籍 ”Kindle” のサービスを 2023 年 6 月に終了するそうです。中国では京东、当当、天猫といった競合が多いだけでなく、無料サービスも多く商売にならなくなったためのようです。日本ではまだ大丈夫ですが、他人事ではないかもしれません。

中国でも電子書籍の登場は衝撃だった

Amazon.com は 2019 年に中国におけるEコマース事業から撤退した後も、電子書籍 ”Kindle” のサービスを続けていました。”Kindle” という英単語そのものの意味は中国語で「点燃火焰」です。中国国内に物流拠点を持たなくても済むからでしょう。しかし、36Kr.com の記事によると、 2023 年 6 月に Kindle の電子書籍サービスも終了するとのことです。

日本で Kindle の端末が発売されて、電子書籍の文化が芽生えた頃を思い起こすと、非常に衝撃的だったことを覚えています。米国では最大手の書店チェーンが倒産しましたし、日本でも本屋さんは Kindle のショーウィンドウと化すのだろうと思いました。

幸いなことなのか、日本では時代の流れが緩やかなのか、日本では街の本屋さんも未だに生き残っていますし、ましてや大手書店チェーンで倒産したところもありません。

中国でも電子書籍の登場は衝撃的でした。速い・安い・軽いは中国でも受けて、中国市場に参入当時の立ち上がりは順調だったようです。

競合そして無料閲覧アプリが行く手を阻む

しかし、速い・安い・軽いに商機を見たのは、競合も同じでした。瞬く間に Kindle の競合が現れ、群雄割拠の戦国時代と化していきました。最近はスマホや PC に無料の閲覧用アプリをダウンロードして読むのが主流ということもあり、ハードウェアの方の Kindle 端末は、14 億人の中国でわずか数百万台しか稼働していない状況だそうです。

特に Amazon.com 自社のEコマースサイトを閉鎖したのが堪えました。 Kindle 端末を他の京东、当当、天猫などの競合のEコマースサイトで売らなければならないためです。じり貧になっていきました。

電子書籍配信サービスの方も同じです。無料閲覧アプリが当たり前で、おまけにコンテンツも無料だけれども質が高いものが出回るようになると、お金を払ってまで書籍を購入しようと思う人はごく少数になってきます。

この辺が人口が多いところの利点でしょう。観衆が多いので、その観衆向けに「网红」を目指してコンテンツを提供する人・組織もたくさん現れて過当競争に陥ります。「内卷化」です。そして、サービスコストが劇的に下がるのでしょう。

そして、サービスとしても、既に購入した書籍をダウンロードできるのが 2023 年 6 月までで、既にダウンロード済みの書籍を読むことができるのも 2024 年 6 月までとのことです。

電子書籍はあくまでサービスであり、買ったモノではない

この記事を読んで「そうか」と改めて思いました。電子書籍はあくまでもサービスの「利用」であって、買ったモノそのものではないということです。紙媒体の書籍なら、書店で買って持って帰るにもずっしり重くて、自分が生きている間は、災害などで燃えたり、水浸しになって使い物にならない限りは自分の「所有物」です。しかし、電子書籍はサービス終了と同時にプッツリと読むことができなくなってしまいます。

書籍の役割は情報を伝えることなので、媒体はあまり重要視されないとはいえ、新聞や雑誌などの読み流すような代物の場合は、古新聞として廃品回収されます。しかし、書籍の場合はそういうものとは少し違います。当然、読み返す場合が多々あるので、紙の場合は上質紙で一生モノの造りになっています。

記事では、今後サービスが別の企業に譲渡されて継続されるのかどうかについて、触れていませんが、何らかそのようなことを考えているのではないかと思うのですが、楽観過ぎるでしょうか。

日本では大丈夫?

この記事を見て、では日本では大丈夫なのかと思ってしまいました。

上記の中国での顛末とは全く関係ないと思いますが、先日、Amazon.co.jp から1通のメールが届きました。曰く、「Google Play Storeのポリシーのアップデートに準拠するため、」Android スマートフォン用アプリからは直接 Kindle 本の購入ができなくなるというものです。

これからは面倒ですが、「Amazon.co.jp/ebooks」ウェブサイトで購入する必要があります。

理由が全く異なるので、関連はないでしょう。たまたま告知時期が重なっただけでしょう。でも、ちょっと気になりました。何もないことを祈ります。

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