英語を話す国でも地域や階層によってご当地訛りがあります。英語が母国語でない人が話す英語もあります。いろいろな人たちの話す英語を聞き取れると、旅行に行ったときに便利でしょうし、外国人に道を聞かれて答えるのにも役に立ちそうです。
英語にもいろいろある
英語を話す国には何もアメリカやイギリスだけではありません。そのアメリカやイギリスにしても地域や階層によって話し方が異なりますし、英語が母国語でない人が話す英語もあります。つまり英語にもいろいろあるということです。そういういろいろな人たちの話す英語を聞き取れるように練習しておくと、旅行に行ったときに便利でしょうし、日本にいても外国人に道を聞かれて答えるのにも役に立ちそうです。
パキスタン人の方が話す「ワルション」という言葉が始め「?」だったのですが、話の中で何度か出てくる文脈から聞いているうちにようやく “version” かと見当がついたことがあります。そういうことがあって、何とかいろいろな英語に慣れるための方法はないかと探したことがありました。その時に使った教材をいくつか紹介したいと思います。
『外国人の本音クロストーク』
日本在住の外国人の方同士が日常生活(Chapter 1)、社会(Chapter 2)、日本と世界(Chapter 3)、政治・経済・科学(Chapter 4)という章立てで様々な題材で英会話しています。英語が母国語の方もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。
最初の説明で登場人物の紹介があり、それぞれのご当地訛りについて説明があります。例えば、アイルランドの英語は “r” を発音するのが特徴だそうです。オーストラリアの英語は “a” が「アイ」に近い発音になります。イタリア人は “h”を発音しないそうです。これはラテン語共通ですね。スペイン語やポルトガル語も “h” を発音しないので、中南米の人が話す英語もおそらくそうでしょう。私が一緒に仕事をしたことのあるブラジル人の皆さんは英語が達者だったので、そんなことはありませんでしたが、多分一般の人は “h” を発音しないのだと思います。ドイツ語には “th” はないので、ドイツ人が話す英語は “th”の発音が “s” になるそうです。確かに以前仕事で話したことがあるドイツ人の方もそうでした。中国人の皆さんは最後に子音があるのに慣れていないので、発音しない傾向があるそうです。これも実体験でその通りで、”-n” と “-ng” で終わる言葉は中国語にもあるので大丈夫ですが、その他の子音は飛ばしてしまう感じです。やはり英語が母国語でない人が英語を話すと、母国語に引きずられてしまいます。本書ではそのような幅広い音源がたくさんあって、リスニングの許容度の幅を広げてくれる練習になります。
『リスニング難易度A+』
残念ながらもやは中古本しか手に入らなくなったようですが、街を行くアメリカ人とカナダ人を捕まえてインタビューして取った音源です。ネイティブスピーカー同士の会話なので、アナウンサーが標準語でゆっくり淀みなく原稿を読み上げるリスニング教材に慣れていると、本書に収録されたインタビューを聞いてみるとまったく勝手が違うことが分かるでしょう。若い人はテンポよくパラパラと話しますが、壮年期の方は割とゆっくりめに話すなど、年代によって話すスピードが違いますし、人によっては少し考えて間があってそのあとドドッと話し出すなど、話すスピードの大きな変化があることが分かります。実際に会話をするときはそうなりがちなので、慣れるための練習にもなります。
本書のもう一つの特徴は、”Give Me a Laugh!” というコラムがあって、インタビューされた人のお気に入りのジョークを披露してもらうコーナーになっています。おもしろいアメリカン・ジョークが楽しめます。
BBC放送の番組 “Business Matters”
最後は書籍ではなく、イギリスBBC放送のラジオ番組です。”Business Matters” という番組は何人かのゲストに参加してもらい、その日のニュースを取り上げて意見を述べ合うトークショーです。イギリス、アメリカ、オーストラリアかニュージーランド、インドなどの南アジア、香港、シンガポール、日本などの東アジアからそれぞれ1人ずつ参加して、その日のニュースに対してそれぞれの地域ではどういう対応をしているか伝えてくれます。それぞれの地域のご当地訛りが出ていて聞き取りの練習になります。最近では、コロナ禍でオミクロン変種株が世界的に感染拡大している中、日本の感染状況が他の地域より穏やかな一方、物流難で半導体チップではなく、ポテトチップスというかフライドポテトが手に入りにくくなっている事情が取り上げられたりしています。
BBC Sounds というスマホ用の公式アプリを使えば、リアルタイムでなくても Podcasts で後から聞くことができます。20秒巻き戻しや先送りの機能がありますので、何度も聞き返すことができてリスニング力を鍛えるのに便利です。
国際語の英語は非ネイティブ同士の会話にも備えましょう
英語のリスニング用の教材はより取り見取りいろいろあります。非ネイティブが話す英語となると途端に少なくなると思います。しかし、現実社会ではむしろ非ネイティブ同士(日本人の自分ともう一人の非ネイティブ)の会話に英語が使われる場合も多いと思います。ブラジルに仕事で行ったときに、ブラジル人とアルゼンチン人が英語で話している場面に出くわしました。ポルトガル語とスペイン語はかなりの程度似ているので、それぞれが母国語で話しても何となく話が分かると言われていますが、実際にはそう簡単にはいかないのが実情のようです。私も実際勉強してみての実感ですが、文字にすれば確かによく似ているけれでも、いざリスニングとなると相当違うなという感じです。似ている言語同士でもそうなのですから、お互い歩み寄って国際語である英語で話すということになるのでしょう。
お互いご当地訛りの特徴を分かった上でコミュニケーションを取ることができればよいですね。ところで、外国の英語リスニング教材の中に日本人が話す英語は登場するのですかね?
コメント